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ブックマーク / huyukiitoichi.hatenadiary.jp (13)

  • 麻雀漫画はいかにして生まれ、発展していったのかが凄まじい熱量と共に語られる、オンリーワンの通史──『麻雀漫画50年史』 - 基本読書

    麻雀漫画50年史 作者:V林田文学通信Amazonこの『麻雀漫画50年史』は書名の通り、70年代から現代(20年代)まで約50年の麻雀漫画歴史を追った、オンリーワンの一冊である。僕は麻雀漫画全般に詳しいわけでも思い入れがあるわけでもないが、書はとにかくおもしろかった。 「麻雀漫画」という狭いテーマを扱いながらも、作家や作品の関連を深く掘っていくことで小説や実際の麻雀業界、アニメ業界との関連もみえてくる。まず、そうした「麻雀を通してみる」ひとつの文化史としてそれ自体がおもしろい。そして、著者のスタイルは作品の概要を紹介するにとどまらず、作品が現代の鑑賞に耐えられるかといった率直な視点からも評していて、「麻雀漫画ガイド」としても機能している。 僕も知らない麻雀漫画が大量に紹介されていて、手に入るかどうかはともかく読みたい漫画が大量に増えた。たとえば世界を統合することが使命と信じる北島敬を主

    麻雀漫画はいかにして生まれ、発展していったのかが凄まじい熱量と共に語られる、オンリーワンの通史──『麻雀漫画50年史』 - 基本読書
    klaftwerk
    klaftwerk 2024/06/01
    福岡だと売り切れていたので本屋に注文入れた方が良いのか
  • 兼業ライターの苦しみと喜びについて語る - 基本読書

    「これから何が起こるのか」を知るための教養 SF超入門 作者:冬木 糸一ダイヤモンド社Amazon明日3月1日に『「これから何が起こるのか」を知るための教養 SF超入門』という僕の初の単著が出るのだけど、これをPRするために(すでに書いた内容紹介文とはべつに)何か書きたいなということで兼業ライターの苦しみと喜びについて書いてみよう。初の単著、書くのは楽しい経験だったが、業を別に持つ人間として、時間的制約など大変な面も多かった。そのあたりは話としておもしろいのではないか。 huyukiitoichi.hatenadiary.jp 最初に個人的な情報を明かしておくと、僕は都内のWeb系企業でプログラマとして働く30代の男性である。プログラマは23歳の新卒の時からずっとそうで、時によって正社員だったりフリーランスだったりと転身を繰り広げ、休止期間も時にはさみながらブログや原稿を書いてきた。転職

    兼業ライターの苦しみと喜びについて語る - 基本読書
  • 抗生物質の使用により耐性を増していく超耐性菌にどう抵抗していけばいいのか?──『超耐性菌 現代医療が生んだ「死の変異」』 - 基本読書

    超耐性菌 現代医療が生んだ「死の変異」 作者:マット・マッカーシー光文社Amazon近年、体内の腸内細菌の存在が我々の健康に大きく関与していることなどが明らかになってきて、細菌を死滅させる抗生物質を無闇矢鱈に乱用するべきではないという潮流が生まれてきた。それは我々の腸内細菌保護のためだけではなく、使いすぎると細菌が耐性をつけてしまい、薬剤耐性菌となってしまうことも関係している。 抗生物質は何も人間に使われるだけではなく、農業・畜産業においても使われている。それも、病気にかかったから使うのではなく、家畜の成長を促したり、すし詰めの飼育場での病気が発生することを予防するために抗生物質をつかっていて、世界で投与されるうちの約4分の3がこうした畜産業での使用されているという指摘もある。 1960年代には存在しなかった耐性菌が、今では何種類も確認され、それに伴って死者もまた増えている。耐性菌による死

    抗生物質の使用により耐性を増していく超耐性菌にどう抵抗していけばいいのか?──『超耐性菌 現代医療が生んだ「死の変異」』 - 基本読書
  • 寿命が短くなっていく国アメリカで何が起きているのか──『絶望死のアメリカ――資本主義がめざすべきもの』 - 基本読書

    絶望死のアメリカ――資主義がめざすべきもの 作者:アン・ケース,アンガス・ディートン発売日: 2021/01/18メディア: Kindleアメリカでは今、絶望死が増えている。絶望死とは、アルコールや薬物依存による死亡、自殺の死因をまとめたもので、45歳から54歳の白人男女による絶望死は、90年には10万人中30人だったのが、17年には10万人中92人まで増えた。自殺率も、アルコール性疾患による死亡率も、薬物の過剰摂取による死亡率も増加している。 20世紀から21世紀にかけて、糧事情も改善し医療の発展があったこともあって、死亡率は改善されてきた。アメリカでも、45〜54歳の白人が心臓病で死ぬリスクは、80年代までは年平均4%で落ちていた──が、90年代には2%に鈍化、00年代には1%にまで落ちて、10年代からは逆に上がり始めた。ここでは中年の白人に限定しているが、若年層の絶望死も増えて

    寿命が短くなっていく国アメリカで何が起きているのか──『絶望死のアメリカ――資本主義がめざすべきもの』 - 基本読書
  • 続きがでなくて悲しかった最近のSFたち - 基本読書

    25日発売のSFマガジン2020年10月号、ハヤカワ文庫SF50周年号で、50周年を記念して渡邊利道さん、鳴庭真人さんと僕の3人で座談会をやっています。 SFマガジン 2020年 10 月号 発売日: 2020/08/25メディア: 雑誌あまり明確なテーマはなくざっくばらんに最近のハヤカワ文庫SFや創元SF文庫について話そう、といったかんじで楽しく話したんですが、その座談会に備えて近年(5年ぐらい)のラインナップを見返したり、どのジャンルが何冊ぐらい出ているのかを数えていたら、「そういえばこれ続きが結局出なかったな……」とか、「というかなんで出なかったんだよ!!」と怨念が蘇ってきたので、供養代わりに記事にしようかと思います。ちなみに早川の編集さんにはその場で続きを出せ! といってます。 ラメズ・ナム『ネクサス(上・下)』 ネクサス(上) (ハヤカワ文庫SF) 作者:ラメズ ナム発売日: 2

    続きがでなくて悲しかった最近のSFたち - 基本読書
  • どこまでの精密さを手に入れることができるのか、また、それは必要なのか──『精密への果てなき道:シリンダーからナノメートルEUVチップへ』 - 基本読書

    精密への果てなき道 シリンダーからナノメートルEUVチップへ 作者: サイモンウィンチェスター出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2019/08/20メディア: Kindle版この商品を含むブログを見る「精密さ」を主軸に据えた歴史技術ノンフィクションである。現代社会において精密さは当たり前に成し遂げられていて、飛行機だろうが新幹線だろうが人工衛星だろうがスマホだろうがほんの50年前には考えられなかったような超高精度の技術の上に成り立っているのに、ほとんどの人はそれがどうやって成し遂げられているのかを知らない。だからこの書名を見た瞬間にこれはいい! と興奮してしまった。 同時に、精密さはあらゆる場所に見られるだけに題材と構成が難しそうだなとも思ったが、公差(基準となる値からどれだけズレてもよいのか、という許容度)0.1だった時代から公差0.000 000 000 000 000 000

    どこまでの精密さを手に入れることができるのか、また、それは必要なのか──『精密への果てなき道:シリンダーからナノメートルEUVチップへ』 - 基本読書
  • 連続殺人犯の記憶を植え付けられた少女──『忘られのリメメント』 - 基本読書

    忘られのリメメント 作者: 三雲岳斗,yoco出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2018/08/21メディア: 単行(ソフトカバー)この商品を含むブログを見る三雲岳斗といえば世間的には『ストライク・ザ・ブラッド』や『ダンタリアンの書架』が有名だろうが、鮮やかなSFミステリィ『M.G.H.―楽園の鏡像』など少ないながらもSF系の著作もまた抜群の切れ味を誇っており、大好きなのである(SF要素自体は各ライトノベルシリーズにも投入されているんだけど)。書はそんな三雲岳斗さんが《SFマガジン》で連載した作品をまとめた格SFサスペンスだ。 他者の記憶を疑似体験できる擬憶素子(MEM)と呼ばれる技術がある世界で、「神の記憶」を求める連続殺人鬼を、死んだとされている伝説の殺人鬼の擬憶を植え付けられた女性シンガーが追うというシンプルなサスペンスだが、時間SF的な要素あり、連続殺人鬼の模倣犯に次ぐ模

    連続殺人犯の記憶を植え付けられた少女──『忘られのリメメント』 - 基本読書
  • 人類のほぼ全てが視力を失った終末世界──『トリフィド時代―食人植物の恐怖』 - 基本読書

    トリフィド時代 (人植物の恐怖)【新訳版】 (創元SF文庫) 作者: ジョン・ウィンダム,中村融出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2018/07/30メディア: 文庫この商品を含むブログ (1件) を見る英国SF界にその名を轟かすジョン・ウィンダムの代表作『トリフィド時代』の新訳版が出た。僕も三足の動く植物がまあなんかスゲーんだよ!! という雑な評判は知っていたのだが読むのは今回がはじめて。第二次世界大戦の爪痕が色濃く残る1951年に刊行された作品だけれども、今読んでもめちゃくちゃおもしろい。 基的には終末世界をわずかに生き残った人間がロードームービー的に旅をしていくのだが、その世界には人間をべる凶悪な植物〈トリフィド〉がいて──と、今でいうと終末ゾンビ物のゾンビがトリフィドに入れ替わったような感じか(内容はずいぶん違うが)。ゾンビだと「死」の象徴としての側面が強いし、手垢が

    人類のほぼ全てが視力を失った終末世界──『トリフィド時代―食人植物の恐怖』 - 基本読書
  • スティーヴン・キングがホラーについて語り尽くす──『死の舞踏: 恐怖についての10章』 - 基本読書

    死の舞踏: 恐怖についての10章 (ちくま文庫) 作者: スティーヴンキング,Stephen King,安野玲出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2017/09/06メディア: 文庫この商品を含むブログ (1件) を見る名著というのはだいたい何度も版を重ねるばかりか関係類者による新・序文がついた新版が出まくって、序文1、序文2、序文3みたいな「序文とはいったい……」状態になるものだが書もその系譜に連なるものである。つまり名著にして序文が3つも連なる一冊だ。現在「IT/イット “それ”が見えたら、終わり。」も上映しているホラー作家のスティーヴン・キングによる、恐怖とホラーについての覚書である。 原書刊行は1981年。邦訳は93年に出た後、今回ちくま文庫からは再々刊となった。そんなわけで今さら長々と紹介する気もないのだが、完全におもしろいである。 映画小説テレビとさまざまな分野に関わ

    スティーヴン・キングがホラーについて語り尽くす──『死の舞踏: 恐怖についての10章』 - 基本読書
  • なぜ薬物依存は減らないのか──『ドラッグと分断社会アメリカ 神経科学者が語る「依存」の構造』 - 基本読書

    ドラッグと分断社会アメリカ 神経科学者が語る「依存」の構造 作者: カールハート,Carl Hart,寺町朋子出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2017/01/24メディア: 単行この商品を含むブログを見る薬物には大変恐ろしいイメージがある。 一度でも手を出せば最後、依存から逃れることは叶わず万難を排して薬を手に入れることに邁進し、捕まってもやめることはできない──。 確かにコカインやマリファナといった薬物には"依存"はある。だが、世間一般に流布しているイメージは科学的に正確とは言い難いものだ。違法薬物による依存とはどのような種類の依存なのか? 依存に陥らない状況もあるのか? という点について、ただ闇雲に恐れるのではなく科学的に検証する必要がある。 書は、アメリカの貧しい黒人居住地区で生まれ、幼少─青年時代を"薬物"と身近な日々を過ごした神経科学者による、"正しく怖がる"ための薬物

    なぜ薬物依存は減らないのか──『ドラッグと分断社会アメリカ 神経科学者が語る「依存」の構造』 - 基本読書
  • 人類は衰退しました by 田中ロミオ - 基本読書

    ゆるふわな絵柄を身にまとい、起こる事件はどれも超常現象、超常テクノロジーに支えられめちゃくちゃな事態に発展し、語り手である少女は翻弄される。ただしあらゆる要素が軽い、ユーモアあふれる文体に包まれている。文体と絵柄によりかわいく、ゆるく包んでいたとしても中身を書いているのは『ウィンドウズ用アプリケーションソフトに使用されるテキスト・データの作成』、俗に言うエロゲーのシナリオライターを業とするいいおっさん田中ロミオである。 そんないいおっさんだが数々の名作、世に受け入れられない変人・狂人やドス黒い人間の悪意を書かせたら天下無敵、根的にSF思考の男に、かわいい女の子の語り手、妖精さんがいるふわふわとした世界観を組み合わせた結果よくわからない融合を遂げたのがこの『人類は衰退しました』シリーズである。超常現象が起こり、それに巻き込まれ、解決したりできなかったりする、金太郎飴的にいくらでも続けてい

    人類は衰退しました by 田中ロミオ - 基本読書
    klaftwerk
    klaftwerk 2014/06/19
    全巻積んでいるので読もう
  • ライトノベルの妹物について - 基本読書

    今日から3連休最終日まで徳島にいくので途中までだけどメモ的に残しておきます。タイムリミットまでできるところまで書こう。思いつきを並べているだけなので帰ってきたら続きを書きます。ライトノベルの妹ものについて。 ブックウォーカーというiPhone電子書籍アプリでラノベばっかり買っているという話はしたかもしれませんが、今も普段の読書の傍らラノベばっかり買って読んでます。5分しか載らない満員電車とか、も出せないような満員電車とかで重宝しておるのです。iPhoneだったら片手で持てるしね。で、最近読んだのがどっちも妹もの。 『この中に一人妹がいる』みたいなタイトルのヤツと『お兄ちゃんだけど愛さえあれば関係ないよねっ』みたいなタイトルのヤツ。どっちもアニメ化作品でなるほど面白いって感じ。最初は絶対おもしろくないだろ……と思いながら買って読み始めたんですけどね。結局二シリーズ合わせて20巻近くあっと

    ライトノベルの妹物について - 基本読書
  • 屍者の帝国(ネタバレなしSIDE) - 基本読書

    いまさら説明するのも野暮なほど有名になってしまった感があるが、今は亡き伊藤計劃が書いた30枚ほどの遺稿『屍者の帝国』をその盟友である円城塔が物語を書き継ぎ、完成させたものが書である。書は出版される敬意そのものが極上の物語であって、物語を読む前に物語が出来上がっていることも話題を盛り上げている一因になっているし、当然読みもそのようなメタ的な情報を含んだものになる。 さてはて実際の出来はといえば、これがまた凄い。プロローグには伊藤計劃が書き残した30ページほどがそのまま使われており、その後に円城塔先生が書いた『屍者の帝国』が続く。文体は「長い物語」を語る方向へ変化しているものの、円城塔らしさもまた残されている(この辺はまたちょっと微妙なんだけどね。後述)。まあ、どんなに消そうとしても現れてしまうものこそがその人固有の文体というものだろう。 元々伊藤計劃先生と円城塔先生の物語の作り方、文体ま

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