田中達治『どすこい 出版流通』(ポット出版) アマゾンと出版社との直取引がここ1年で拡大している。その背景にあるのが、楽天ほか、大手出版社や大日本印刷による業界第3位の取次・大阪屋を救うための出資だ。競合相手の楽天の傘下に入る予定の大阪屋とは日本上陸以来の取引先だが、同社との決別を視野に入れ、自らの取次機能を強化しようと急ピッチで直取引の物流網を整備し始めている。これはアマゾンが粛々と事業を拡大するというレベルを超え、出版流通を大きく揺るがす”終わりの始まり”なのである。 ここで少し、出版界の流通事情について説明が必要だろう。そもそも出版界は、出版社(製)、取次(卸)、書店(販)の3者が、1冊1冊の書籍・雑誌の売上をレベニューシェアするかたちで売上を分け合っている。大昔は三位一体などという言葉を使ってこの3者の強い関係性を表現していた。また、この3者による流通ルートを”正常ルート”などと呼
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