大学と官僚がともに自立できる社会に 天下りをしなくても再就職できるようにするために 古井貞煕 豊田工業大学シカゴ校 (TTIC) 理事長 自民党の河野太郎前行革担当相によれば、文科省から大学への幹部ポストへの現役出向が241人に上り、その内、理事が76人を占めているという。筆者が以前に勤めていた東京工業大学では、事務部門の部長のポストで、大学内からの生え抜きが就くことができるのは一つだけで、それ以外の部長はすべて文科省からの出向で占められている。 文科省は学長からの要請に基づいて出向していると言っているが、天下りと同じで、ノーと言えないだけであろう。大学の側も「こういう人がいると役所から情報がもらえる」とか「役所との人的つながりがないと損をする」と言い訳しているが、これがおかしいと思わないのがおかしい。地方大学の幹部は、気の毒にも、「足しげく文科省に顔を出さないと、情報が得られない」と言う