所得税論議 最高税率引き上げは問題多い(6月24日付・読売社説) 政府税制調査会の専門家委員会が論点整理の形で、税制改革の方向性を打ち出した。 危機的な財政事情を念頭に、社会保障の安定財源として消費税の重要性を強調している。極めて妥当な指摘だ。 反面、所得税改革に関し、所得が増えるほど税率が高くなる累進構造の強化に力点を置いているのは問題だ。 菅首相が言及する将来の消費税率引き上げでは、一般国民の負担が増すため、高所得層への所得課税強化で、一定の理解を得ようとする狙いが読み取れる。 確かに消費税には、低所得層ほど税負担が相対的に高まる「逆進性」が指摘されている。 だからと言って、累進税率の強化につなげて考えるのは筋違いだ。消費税の逆進性の解消は、生活必需品への軽減税率導入などで対応すべき問題である。 所得税は、2009年度の税収が27年ぶりに13兆円を割り込み、ピーク時のほぼ半分になる。