「デフレからの脱却」が永久目標のように語られる日本では、「インフレ」と言われても、ピンとこないだろう。しかし、世界の証券市場や金融当局者の関心事は、急速にインフレにシフトしている。 顕著なのが食用油や砂糖といった食品の価格高騰だ。国連食糧農業機関(FAO)によると、国際的な食料価格指数が先月、史上最高を更新した。「食料危機」が叫ばれた2008年の水準をも上回る。特に途上国や、中国、インドなど新興国で深刻さが増しており、暴動や社会不安の再燃が心配だ。 食料と並び、私たちの暮らしに直結する原油や鉱物の値段も上昇しており、新興国では物価全般を押し上げている。中国では、11月の消費者物価指数が前年同月比5.1%増と、年間目標の3%を大幅に超えた。 いまや世界経済で重要な地位を占める新興国の混乱は、日本など先進国にも波及する。注視が必要だ。 新興国ほどではないが、先進国でも、インフレ防止が今年の重要