主に病院や警察の霊安室で眠る遺体を棺に納めて、葬祭場などに運搬することを「遺体下げ」といい、その仕事に従事する者は「下げ屋」と呼ばれている。今回は、永年に渡って「下げ屋」の仕事に従事してきた男(48歳)から話を聞く機会を得たので、その知られざる実態を明らかにしたい。 ◇ 会社に出勤すると待機室に入って、好きなことをしながら遺体下げの依頼を待つ。多い時には一日4~5体下げることもあるが、何もなければそれで終わりだ。不謹慎かもしれないけど、数をこなさないと手取り(日給13800円のほかに一体当たり2000円の手当が出る)が減るので、依頼の多い日はありがたく思える。 病院で下げる遺体は、基本的には病死であるし、損傷があっても一通り修復されているから比較的綺麗な遺体が多い。だが、死後硬直が始まってしまうと、ちょっと大変だ。指を組ませるには指の骨を折らなければならないし、口を開けたままで納めるわけに