「給与がなかなか上がらないなあ……。というより減り続けている」というビジネスパーソンも多いのではないだろうか。ある調査によると、10年前の35歳の平均年収は500万円台だったが、今は300万円台に落ち込んでいる。30代の年収減に歯止めがかからない状況に対し、匿名ブロガーのちきりんさんとフリーライターの赤木智弘さんはどのように考えているのだろうか。
筆者:シマノはブレーキと変速機のメーカーというイメージを持っていたのですが、ここにはおよそすべての構成部品、シューズ、ウエアが展示されています。私のイメージは間違っていたようですね。 トロスト氏:当社は自転車のフレーム(自転車の骨格部分)を除くほとんどすべてのものを製造しています。フレームを製造しないのは、フレームメーカーが当社の顧客であるためです。 筆者:シマノは自転車の本場欧州で大きな成功を収めていますが、その秘密と企業戦略は何ですか? トロスト氏:当社は1921年に島野鉄工所として大阪で創業を始めました。長い歴史を持ち、来年で90周年を迎えます。成功のキーワードは「トップクオリティー」です。われわれの視点はいつもテクノロジーに向けられています。当社は技術と品質の高さで勝負する「テクノロジー企業」であり、広告やイメージ戦略に頼って販路を拡大する「マーケティング企業」ではありません。 2
評価結果が固定化する理由 ではなぜ、評価結果が固定化してしまっているのか。それは、「人材レベルに変化がないから」「能力や意識、意欲における個人差を放置してしまっているから」ではないかと考えます。それぞれの強みや弱みが、時間が経過しても変わらず放置されている状態。学ぶ機会も風土もなく、成長に乏しい状態。だから、評価の結果がいつも似たようなものになる。 だとすると、成果主義が機能しなかった理由は、育成とセットで処遇システムを導入・運用しなかったことではないかと考えます。配置換え、役割の見直し、研修、日ごろの指導などを通じた人材育成への取り組みを軽視したままなので、評価の良し悪しはいつも同じようなものとなり、結果として処遇格差が動機付けとして機能しなかったということです。 もちろん成果主義の導入当初は、より良い処遇を求めて各々が自主的に学び、成長しようとするのではないかという期待もありました。し
著者プロフィール 川口雅裕(かわぐち・まさひろ) イニシアチブ・パートナーズ代表。京都大学教育学部卒業後、1988年にリクルートコスモス(現コスモスイニシア)入社。人事部門で組織人事・制度設計・労務管理・採用・教育研修などに携わったのち、経営企画室で広報(メディア対応・IR)および経営企画を担当。2003年より株式会社マングローブ取締役・関西支社長。2010年1月にイニシアチブ・パートナーズを設立。ブログ「関西の人事コンサルタントのブログ」 「成果主義が機能しなかった」という指摘は、多くの場合「処遇を成果に連動させるようにしても、従業員のやる気や危機感はそれまでと比べてさほど変わらなかった」という結果のことを言っているのだろうと思います。 成果を上げればこれまでより給与や賞与が上がり、昇格もするが、成果が上がらなければこれまでより下がる、つまり「成果によって処遇の差を広げますよ」という仕組
異なるタイプの人を育てるのは難しい さて、社会が永続的に機能していくためには、一定の比率でこれらすべての人が必要です。 「壊す人」が多すぎると混乱するし、「創る人」が多すぎるとアイデア勝負で楽しいですが何も進まない。「回す人」しかいないと、最初はいいものの、次第に面白みのない社会になり行き詰まります。「管理する人」はパラサイト民族で、多数の「回す人」がいないと存在意義が発揮できません。「考える人」が多すぎても世の中は動きません。また「何もしない人」たちの存在は社会にリアリティを与えている一方、全員が何もしないと社会は動きません。 大事なことは、社会、会社、地域、学校、クラスなどあらゆる“コミュニティ”に、これらの人たちがバランスよく混じっていることです。 ところが日本のように中央集権的な国では、義務教育は中央が設定した統一的な思想や制度に基づいて行われ、教師も同一基準で選抜されます。そのた
「ちきりんの“社会派”で行こう!」とは? はてなダイアリーの片隅でさまざまな話題をちょっと違った視点から扱う匿名ブロガー“ちきりん”さん。政治や経済から、社会、芸能まで鋭い分析眼で読み解く“ちきりんワールド”をご堪能ください。 ※本記事は、「Chikirinの日記」において、2006年2月1日に掲載されたエントリーを再構成したコラムです。 世の中にはいろんなタイプの人がいます。 1.創る人 2.回す人 3.管理する人 4.考える人 5.壊す人 番外.何もしない人 まずは「創る人」がいて、何かが始まります。“空を飛ぶ”という考えにとりつかれた人たちが、人生をかけて作り出したのが飛行機です。大企業も最初は個人が起業してできました。私たちが日々使っている便利な商品やサービスも、最初は誰かが突拍子もないことを言い出し、それがいつしか実現して普及したものです。 4年ほど前、ヤマト運輸が社歴を振り返る
性格の改造は可能だ というように、内に向かいがちな感情をコントロールするために、「心の持ち方の訓練」「できるだけネガティブに考えないようにする訓練」を続けていると、感受性自体も次第に下がってきました。さらに何十年の間には、性格、気質も変化し、最近は自分の性格についても「比較的いい感じじゃない?」と思えるほどです。 この経験からちきりんは、「性格は変えられる」と確信しています。もちろん、「完璧なる脳天気さ」を発揮してくれる本当にすばらしい友人たちを見ていると、「あっ、無理。こうなるには300年あっても無理!」とは思うものの、自分の時系列比較(昔の自分と今の自分の比較)であれば、その変化はかなり大きく、「よく頑張った!」と自分で自分をほめたいくらいです。 たいていの人にとって“成長”とはスキルが向上したり、知識や判断力が増すことを意味するのでしょうが、ちきりんにとっての“成長”とは「できるだけ
一定以上の努力が必要なことはしない もう1つ気を付けているのは、「一定以上の努力が必要なことはしない」ということ。別の言い方をすれば、「自分の能力を大きく超えた目標を立てない」ということです。 真面目な人は、いったん高い目標を立てると最後まで頑張ってしまいます。適当に済ませることができず、「できなくてもいいや、仕方ない」と思えません。「なんとかしてやり遂げないといけない」と自分を追い込んでしまうのです。 そうなることが目に見えているので、ちきりんの場合は最初から「頑張らなくてもできそうなこと」を目標にします。そのため、ちきりんはよく「努力という概念を知らないヤツだ」とか、反対に「余裕があるよね、ちきりんはいつも」と言われるのですが……確かにそうでしょう。できることしかやらないのですから。 「大丈夫かな」と思ってやり始めたことでも、「あっ、これはかなりの努力をしないと無理だ」と分かった時点で
「ちきりんの“社会派”で行こう!」とは? はてなダイアリーの片隅でさまざまな話題をちょっと違った視点から扱う匿名ブロガー“ちきりん”さん。政治や経済から、社会、芸能まで鋭い分析眼で読み解く“ちきりんワールド”をご堪能ください。 ※本記事は、「Chikirinの日記」において、2008年3月26日に掲載されたエントリーを再構成したコラムです。 あるテレビ番組で「うつ病になりやすい人の特徴」が紹介されていました。「真面目で責任感が強い」「内省的」「心配性でネガティブな方向に考えがち」「几帳面」といった項目が挙がっていたのですが、それを聞いていて「まさに自分の性格だなあ……」と思いました。 今のところまだ、うつ病を患ったことはありませんが、その理由の1つは「すごく気を付けてきたからだ」と思っています。「『自分だけは大丈夫』と思っている人が危ない」と聞くこともありますが、ちきりんの場合はその反対で
3月初旬。学生の姿もまばらな関西学院大学のキャンパスに、鈴木謙介さん(33)を訪ねた。メッシュの入った茶髪にあごヒゲという出で立ち。重厚な研究室がまったく似合わない。 それもそのはず。気鋭の社会学者は、TBSラジオ「文化系トークラジオ Life」、 NHK「青春リアル」でメイン・パーソナリティーを務め、若者の間では「チャーリー」の愛称で親しまれている。難解な社会学用語を駆使する一方で、誰にでも分かる言葉でも語りかけてくれる、頼れるアニキのような存在なのだ。 自らDJをやっていた経験もあり、サブカルから政治哲学まで、その守備範囲はとてつもなく広く、鈴木さんの師匠である宮台真司氏を彷彿(ほうふつ)とさせる。全3回でお送りする鈴木謙介さんへのインタビュー第1回目は「閉塞感」について。 閉塞感に直面する日本 「銘々が自分の都合のいいイメージの中で社会というものをとらえて、例えば自己責任論にはまり込
若者はなぜ生きづらいのか?――社会学者、鈴木謙介氏インタビュー(前編):2030 この国のカタチ(5/5 ページ) 機能不全のシステムを回し続ける不幸 続いて3点目です。これは人口の問題にかかわります。ここではその中の3つの要素についてお話しします。1989年以降のバブル破たん、1990年代の就職氷河期、そして超氷河期という就職が非常に厳しい状態が続くわけです。この時に就職不況に直面したのが、1970年代前半生まれの第2次ベビーブーマーから、その下の世代、だいたい団塊ジュニアからポスト団塊ジュニアと呼ばれる世代に重なっていたことが、日本独自の不幸を生みました。 彼らの親は、まさに先ほど述べた高度成長モデルの中を生き、その価値観を内面化してきた世代です。だからその子どもたちが就職できない状況に直面したとき、自分たちの人生は親が経験してきたモデルと比べて不完全であり、「得られるはずのものが得ら
若者はなぜ生きづらいのか?――社会学者、鈴木謙介氏インタビュー(前編):2030 この国のカタチ(4/5 ページ) 1970年代に変化に直面しなかった日本 残り2つが日本独自の状況になります。まず、日本の中では国家の福祉ではなくて、つまり公共福祉ではなくて、企業福祉が中心だったということです。国の福祉支出は先進国最低レベルですが、その代わり国は企業を護送船団方式で守り、その企業が従業員を守り、その従業員の男性が専業主婦の奥さんと子どもを守り、という順番で生活を支えるモデルを作ってきた。 このモデルは、例えば家族のシステムや、あるいは企業のシステムが安定的な時には、それなりにうまく働きます。しかし、システムが不安定になったり価値が多様化してくると、途端に破たんするモデルなんですね。 例えば、価値の多様化に関して言えば、奥さんは旦那さんにずっとくっついていかないと、企業年金ももらえない、老後の
若者はなぜ生きづらいのか?――社会学者、鈴木謙介氏インタビュー(前編):2030 この国のカタチ(3/5 ページ) 自分の不幸は社会のせい? それとも単なるワガママ? 乾 「社会が変えられない」ということに関して、全共闘の時代だったら「資本主義が悪い」とか、一昔前だったら米国主導のグローバリゼーションが悪いとか、割と単純なことが言えたと思うんです。けれどももう今は、「グローバリゼーションの波に快調に乗り、企業にも元気になってもらわないと、国としてもたないよね」という空気が醸成されつつある気がします。「そのための格差なら仕方ない。誰のせいでもないよね」と。この敵が特定しづらい感覚、あるいは「こういう社会でしかあり得ないんだ」という感覚について、どうお考えですか。 鈴木 まあもちろん、敵が見えればいいっていう話じゃないんですけれども、もともとそんなに敵というのは見えてなかったと思うんですね。つ
若者はなぜ生きづらいのか?――社会学者、鈴木謙介氏インタビュー(前編):2030 この国のカタチ(2/5 ページ) 若者はなぜ生きづらいのか? 乾 いきなりになりますが、「閉塞感」についてお聞きしたい。鈴木さんも色々なところでお書きになっていることだと思いますが、日本社会は旧来の価値観から自由になって、人々は多様なライフスタイルを選べるようになったと言われる。 でもその一方で、なぜかあまりそんなに自由ではないような空気もある。特に若年層の中で息苦しさとか、よく社会運動家で作家の雨宮処凛さんなどが言っている「生きづらさ」みたいなものが蔓延(まんえん)していると言われています。日本社会の閉塞感と呼ばれるようなものを、どのようにとらえてらっしゃいますか? 鈴木 そうですね。まず、「閉塞感という言葉そのものが、おそらく人によってかなりとらえ方が違うんじゃないか」という気がします。つまり、「個人とし
年配女性用スーツはもっと売られていない 男女比較ではなく女性服の中で比較すると、若い子向けのブランドではそこそこスーツ的な洋服も増えてきています。また最近は紳士服専門店も、リクルートスーツを中心に女性用スーツを売り始めています。リクルートスーツはそれなりにバリエーションが豊富です。この時期には男性と同数の女性がスーツを求めますから、市場として認識されているようです。 また、20代前半は“OL”の年齢なので、多くの女性が会社で働いています。最近は制服のない会社も多いので、若い女性向けのスーツも一定量出てきています。ただ、かなりローライズのパンツにピタピタのジャケットという、仕事のしやすさより見かけを優先したスーツがまだ多いようです。それ以外で売られている女性用スーツは、“子どものお受験の面接に行くためのママスーツ”です。これらはネイビーや真っ白の上品なスーツが多く、あまり仕事用には向いていま
「ちきりんの“社会派”で行こう!」とは? はてなダイアリーの片隅でさまざまな話題をちょっと違った視点から扱う匿名ブロガー“ちきりん”さん。政治や経済から、社会、芸能まで鋭い分析眼で読み解く“ちきりんワールド”をご堪能ください。 ※本記事は、「Chikirinの日記」において、2007年7月3日に掲載されたエントリーを再構成したコラムです。 街ではたくさんの洋服が売られていますが、フォーマル、ビジネス、カジュアルなどの用途別にみるとどんな内訳になっているのでしょうか。紳士服の場合、若い世代向けではカジュアル比率がかなり高いし、年配向けではビジネス比率が高そうです。 売上高、販売点数、販売面積のいずれで見るかでも違うのでしょうが、ざっとデパートなどの紳士服売り場を思い起こすと、ビジネス衣料は売り場の半分くらいを占めているように見えます。 男性用の場合、デパート以外でもスーツ専門店(ロードサイド
対立の構図を見ると…… 図で見てみましょう。左側が若者で右側が中高年です。上段(青とピンク)は「人件費がケタ外れに安い外国の労働力に代替されない能力を持っている人」で、下段はそういった国の労働者に「代替される人たち」です。 現在は、グローバリゼーション(生産の海外移転など)によって、下段の人たちの給料が世界水準に向けて下がり続けています。世界では同一労働・同一賃金が普通ですから、「年齢が高いから」「妻子を養う必要があるから」「日本の物価が高いから」というような理由で、給料の額を決めるわけにはいきません。 しかし、中高年の多くは正社員であるため給料が下げられません。そのため緑エリアにいる若者にしわ寄せが来ているのです。 それぞれのエリアにそれぞれの主張を入れてありますが、ちきりんが違和感があるのは、ここで左下、緑エリアの若者が発する「結婚生活に必要な額を支払ってほしい」というタイプのスローガ
「ロスジェネB面」の姿 確かに、英語の不得意な先輩社員を尻目に、バリバリと海外関係の仕事をこなし、先輩らより数年も早く昇進も成し遂げたA君は自信に満ちあふれていて、「将来は役員となって今の事業の責任者になりたい」という野望も明確に語ります。 彼を見ていると、本当の勝ち組は就職状況が楽だったバブル期や好景気の就職組の人たちではなく、企業が採用を抑えた就職氷河期に環境の良い大企業の正社員側に入ることのできたA君のような人たちなのだと分かります。彼らにしてみれば「就職氷河期、サイコー!」とでも言える状況なのです。 A君自身も、「就職活動は大変だったけど、正直言ってバブル世代に生まれていなくて良かったです。あんな時代に生まれていたら、僕だって今ごろすっかりダメサラリーマンになっていたと思いますから」と自嘲気味に笑います。 バブル時期に学生だった人たちは、超のつく売り手市場で非常に楽な就職活動をして
関西出身。バブル最盛期に金融機関で働く。その後、米国の大学院への留学を経て現在は外資系企業に勤務。崩壊前のソビエト連邦などを含め、これまでに約50カ国を旅している。2005年春から“おちゃらけ社会派”と称してブログを開始。 →Chikirinの日記 関連記事 「就職氷河期、サイコー!」な人たち 就職氷河期に直面したため、多くの人が希望の職に就けなかった“ロスジェネ世代”。そんなロスジェネ世代の中では、就職活動に成功した人と失敗した人との間に大きな格差ができている、とちきりんさんは主張します。 日本に貧困は存在するのか?――“貧困の定義”を考える 貧困問題を考える時の第一歩は“貧困の定義”だというちきりんさん。どのような視点から、貧困を定義付けるべきだとちきりんさんは考えているのだろうか。 引きこもりに男性が多い理由 東京都の2008年調査によると、“引きこもり”の71.4%が男性ということ
将来、“国語会話”という授業が必要になるかもしれない:ちきりん×phaの「そんじゃーダラダラと」(9)(2/3 ページ) ちきりん 私にとって仕事は全く別のモノ。大学時代に起業のマネごとをしたことがあるのですが、そのとき「自分には合わないな」と思ったんです。なぜ合わないなと感じたかというと、プライベートと仕事が一緒になってしまうから。土・日曜日もなければ、盆休みや正月休みもなくなってしまう。そんな生活は私には合わないと思った。 会社に勤めているサラリーマンがいいなあと思ったのは、有給休暇があったり、週末が休みであったり、プライベートと仕事を分けることができるから。なのでいまは、プライベートと仕事をきちんと分けていますね。人格も違うくらいの勢いで仕事をしていますよ。この対談ではなく、仕事でお会いすることがあれば「えっ? 誰この人?」といった感じで気付かないかもしれない。 pha ブログを書く
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