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ブックマーク / bakhtin19880823.hatenadiary.jp (11)

  • 【愛の◯◯】取材旅行ですよ♫ 3日間休みますよ♫ - 音楽と本、それからそれから……。

    「アツマくん……」 「うむ」 「昨日は、わたし、コドモになっちゃった」 「そうか?」 「そうよ。ホットケーキ焦がすなんて、小学3年生以来だった」 「気に病むなよな、愛」 「分かってる」 「おれがついてるからよ、愛ちゃん」 「……嬉しいわ。背中をナデナデしてくれて」 「いつまでこうしてほしい?」 「あと少しだけ。……ノロケ過ぎも、良くないし」 × × × 「ところでねアツマくん」 「なんだよ」 「管理人さんから『お知らせ』が来てるわ」 「お知らせ?? 取材旅行がなんとやらで、数日ブログ更新を休むとかか??」 「どうしてそんなにカンがいいの!? あなたって凄過ぎるわね」 「え、マジで取材旅行なんか」 「大当たり」 「……」 「なによ、ムッとした顔にならなくても良いじゃない」 「どこに旅行に行くつもりなんだよ、管理人のヤツ」 「企業秘密よ♫」 「チッ」 「――明日から3日間、ブログはお休み。次の

    【愛の◯◯】取材旅行ですよ♫ 3日間休みますよ♫ - 音楽と本、それからそれから……。
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    koenohon 2023/07/09
  • 【愛の◯◯】不協和音かよ - 音楽と本、それからそれから……。

    夕飯の時間になる少し前辺りから、愛と流(ながる)さんの間(あいだ)の雲行きが怪しい。 互いになんだかギクシャクしているのだ。 不協和音ってか? 基、折り合っているふたり。 なのに、今は違う。 すれ違いの空気が、ふたりの間から醸(かも)し出されている。 × × × 夕飯のダイニングテーブル。 おれの右隣の席の愛が、べ終えて立ち上がった。 「ごちそうさまでした」 キッチンを向きながら言う愛。 流さんに――完全に、背を向けて。 コンロに向かおうとする愛だったが、 「コーヒー淹れるんなら、3人分淹れてくれ」 とおれは声をかける。 「3人分? どうして?」 問う愛に、 「流さんとおれの分も。流さんもべ終わったみたいだし、おれももうすぐべ終わるし――」 「ヤダ」 ――おいっ。 愛は、2人分のコーヒーを作って、自分の席とおれの席の前だけにマグカップを置いた。 流さんは完全スルーされた。 …今度は

    【愛の◯◯】不協和音かよ - 音楽と本、それからそれから……。
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    koenohon 2022/12/02
  • 【愛の◯◯】きょうの夕食から、お料理に復帰します。 - 音楽と本、それからそれから……。

    まだ夜が明けたばっかり。 階下(した)のリビングに行くと、アツマくんがTBSの某番組を視聴していた。 「珍しく早起きね」 「『珍しく』は余計だ」 「エーッ」 「……。 もうちょいしたら、朝飯作るから」 そっか。 きょうの朝当番、アツマくんだったわよね。 ……朝と昼は、ほかのお邸(やしき)メンバーが作ってくれるんだけど。 「アツマくん。」 「ん?? なんぞ」 「夕当番は、未定だったでしょ?」 「…未定だったが」 「夕、わたしが作るわ」 「……マジかよ」 「この前言ったでしょう。『わたしもそろそろ、家事に復帰できると思う』って。きょうからお料理に復帰したいのよ」 「……」 「その沈黙はなに」 「愛。おまえが……料理のカンを忘れてないか、心配で」 「心配しないでっ」 「む」 「これは約束よ。余計な心配は、しないこと」 「むむぅ…」 「まだ不安視してるの!? 大丈夫よ。利比古みたいに、ス

    【愛の◯◯】きょうの夕食から、お料理に復帰します。 - 音楽と本、それからそれから……。
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    koenohon 2022/11/24
  • 【愛の◯◯】悪夢!? - 音楽と本、それからそれから……。

    ……あれ? どうしてわたし、こんなところに居るんだろう。 母校にあった会議室みたいな部屋。 わたしは座っていて、男の子がひとり、ホワイトボードのそばに立っていて。 男の子は……よく見たら、 利比古くんだった。 だけど。 利比古くん……とっても、不機嫌そうな顔。 不満を抱きしめていそうな表情……。 しかもその不満が、わたしに向かっての不満であるような……そんな気がして、悪寒が走る。 彼は口を開いた、のだが、 「…もっとちゃんとしてくださいよ。川又さん」 という冷たいことばが……わたしに突き刺さってきた。 悪寒、倍増し。 「失望しました」 残酷なひとこと……! 彼の顔を見ることができず、ホワイトボードに眼を逸らす。 だけども、ホワイトボードには……負(ふ)に満ちたことばが、落書きのように書き殴られていて。 …胸を締め付けられるような感覚があった。 そして……『場面』は移り変わり、我が家の喫茶店

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    koenohon 2022/10/23
  • 【愛の◯◯】とりあえず、真備をカフェに連れ込もう。 - 音楽と本、それからそれから……。

    久保山くんが、漫画雑誌を珍しく読んでいない。 「珍しいねえ」 「なにが? 有楽」 「久保山くんが、漫画を読んでいないこと」 「そんなに、かよ」 「…きょうって、マガジンとサンデーの発売日でしょ?」 「…ああ」 「いつもは、水曜日、真剣な眼でマガジンとサンデーを読んでいって、読み終わったあとで『批評』をするじゃない。今週のマガジンとサンデーは全体的にどうだったか、とか、この連載漫画が特に気になった、とか」 久保山くんは、いささかくたびれ気味に、 「今週は……そういう余裕、ないんだ」 えーっ。 「なに!? 青息吐息状態!? 久保山くん」 「そこまでオーバーに驚く必要はないが……まあ、青息吐息だ」 「どうしてよ」 「演習。卒論演習」 あーっ…。 「ハードなのね。卒論に向けてのあれやこれやが」 「そうだよ。ハードなんだよ」 ガサゴソと、じぶんのバッグからを何冊か取り出して、 「1週間で何冊も何冊

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    koenohon 2022/05/18
  • 【愛の◯◯】『15球目』 - 音楽と本、それからそれから……。

    勝負は、3打席。 3打席のうち、2外野に打球を飛ばしたら、大井町さんの勝ち。 マウンドに立つわたし。 右打席の大井町さんを睨みつけたら、睨み返された。 絶対に打ち取ってやりたいという気持ちが昂ぶる。 いや。打たせない。バットに当てさせない。 3打席連続三振で、ケリをつける。 力を込めて、第1球を投げる。 …外角高めの、ボール球になってしまった。 力を…込めすぎた。 キャッチャーの久保山幹事長が捕球できず、小走りでボールを取りに行く。 大井町さんはバッターボックスで微動だもしていない。 第2球。 今度は…内角高めに、逸れてしまった。 久保山幹事長が飛びつくも、捕れない。 もちろん、ボール球もボール球。 インハイへのボール球だったけど……大井町さんは、ビクともせず。 彼女の口が少し動く。 『ストライクゾーンに投げてきなさいよ……』 と言っているようにも見える。 わかってるわよ。 ストライクゾ

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    koenohon 2022/05/10
  • 【愛の◯◯】猫が弱点なのか - 音楽と本、それからそれから……。

    ゴールデンウィーク前日の放課後。 ぼくは、放送部部長の猪熊さんとともに、旧校舎に来ていた。 KHKの活動拠点たる『第2放送室』のドアを開け、猪熊さんを招き入れる。 「これが『第2放送室』ですか」 「そうだよ」 「狭いし古いですね」 率直なご感想…どうも。 …なぜ猪熊さんをKHKに招いたのか。 それは、ぼくが制作中のKHK新番組のナレーションを、彼女に担当してもらうことになったからである。 小路さんの提案で、ジャンケン勝負に『勝った』ほうが、ぼくの番組のナレーションを担当してあげることになった。 そして、小路さんとのジャンケンに、猪熊さんは『勝って』しまったのだ。 「貧乏くじを引いた…とか、思ってる?」 そう言って、猪熊さんを気づかう。 「いいえ思っていません」 キッパリの猪熊さん。 それから彼女は、 「発声練習がしたいです」 と告げる。 「ああ、ナレーションするんだもんね」 「奥のスタジオ

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    koenohon 2022/04/29
  • 【愛の◯◯】波乱は、最後の最後に、待ち受けていて。 - 音楽と本、それからそれから……。

    式典も、最後のホームルームも終わって、校舎の外。 スポーツ新聞部の面々にわたしは囲まれている。 感極まった声でヒナちゃんが、 「あすか先輩、がんばりますから、あたしたち!! 末永くスポーツ新聞部が続いていくように、一生懸命がんばりますから!! あすか先輩があたしたちに教えてくれたこと、ずっとずっと、ぜったいのぜったいに、大事にし続けますから……!!」 ソラちゃんも、眼を潤ませつつ、 「頼っていいですか、これからも? わたしたちが困ったときは。……いいえ、頼らせてください、ぜひとも。アドバイス、ください。ワガママかもしれないけど、この先もあすか先輩には、わたしたちの支えになってほしい……見守ってほしい……!」 「よしよし、ふたりとも」 笑って、1年生女子コンビをなだめる。 …ふたりの、『おねーさん』だ、わたし。 「戸部先輩」 会津くんが、 「加賀先輩への部長の引き継ぎは、まだでしたよね?」

    【愛の◯◯】波乱は、最後の最後に、待ち受けていて。 - 音楽と本、それからそれから……。
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    koenohon 2022/03/01
  • 【愛の◯◯】苦虫噛み殺しガール - 音楽と本、それからそれから……。

    放課後。 またもや、ぼくは、放送部に来ている……。 × × × クッキーやチョコレートが置かれたテーブル。 左斜め前には、前・放送部部長の北崎先輩。 そして真向かいには、現・放送部部長の猪熊さん。 「ホラホラ、遠慮せずべたり飲んだりしなよ~、羽田くん」 そう勧めるのは北崎先輩だ。 …遠慮気味に、ファンタオレンジを飲むぼく。 猪熊さんの傍らには、カルピスウォーターのペットボトル。 思わず言っていた、 「猪熊さん、バナナジュースだけじゃなくて、カルピスウォーターも好きなんだね」 と。 「……それがどうしたんですか? 羽田くん」 う。 キツい反応。 苦し紛れに、 「いや、あのね……。いろんな飲みものが好きなんだねって思っただけ」 ツン、とすましたようにして、猪熊さんはなにも答えてくれない。 苦し紛れに苦し紛れを重ねて、 「猪熊さん。きょう……小路(こみち)さんは?」 「ヨーコですか? ――サボ

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    koenohon 2021/12/23
  • 【愛の◯◯】マカロニサラダとチョコパフェで対立 - 音楽と本、それからそれから……。

    図書館で、読書。 大学の文学部キャンパスの図書館。 2限の時間が空いたから、その時間をまるまる使って、読書にいそしんでいるというわけ。 なんだかすごく、大学生らしいことしてるって感じ。 文学部の、大学生らしいことを。 キャンパスの図書館にこもって、読書……。 最高に文学部な(?)気分。 やっぱり、文学部の図書館だから、文学書が充実している。 文学ジャンルの書棚は、目うつりするぐらいの取り揃え。 あれも読みたい、これも読みたい……という気分になるわけ。 幸せね。 4年間で、ここの図書館、どれだけ読めるかしら? × × × お昼になったので、図書館を出た。 カフェテリアに直行。 古木紬子(ふるき つむぎこ)ちゃんと合流する。 「こんにちは、愛さん」 「紬子ちゃんこんにちは。政治経済学部も、そろそろ冬休み突入かしら?」 「そうね。ヒマになってきたわ。もともと、あまり忙しくない学部なのだけれど

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    koenohon 2021/12/21
  • 【愛の◯◯】「折れちゃダメだよ」 - 音楽と本、それからそれから……。

    授業が終わった。 教室から廊下に出た。 ――担任の二宮先生(『ニノ先生』)が、前方に立ち、わたしのほうを向いている。 用事でも、あるのかな? こっちから声をかける。 「どーしたんですか? 先生。立ち止まって」 …答えてくれず、ジーッと視線をわたしのほうに注いでくる。 「なにか言ってくれないと、困っちゃうな、わたし」 そう言ったら、ふう、と息を吐いてから、先生は、 「……あすか。おまえの調子が戻ったみたいで、安心だよ、おれは」 「――えっ? 調子が戻ったって、どういう……」 「推薦の合格が決まって、さぞ嬉しかろうと思いきや、12月に入ったとたんに、元気をなくしたようになっていたから」 ……気づいてたんだ、ニノ先生。 わたしの異変に、それとなく。 「先週の終わりあたりから、ようやく元気が戻ったみたいで、担任として、ホッとしてるんだよ」 そっか。 わたしは……もう一歩、先生との距離を詰めて。 「

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    koenohon 2021/12/14
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