◇「保守」の基本は自由主義を内包 先進資本主義国では珍しい長期政権を築いてきた自民党は、もちろん、保守政党である。そしてまた、近年は、首相の靖国参拝や対中国・韓国などの問題で保守派の論調が注目されてきた。だが、櫻田准教授は「日本の社会科学認識における保守派は、イデオロギーではなくプラグマティック(実際的)で自由主義的なもの。自民党が保守政党とされる理由もそうだ。最近、脚光を浴びていた『保守』派とはかなり違う」と強調する。 日本で最初期の政治学者の一人、小野塚喜平次は、社会主義を国家の国民への力を強めるとして批判しつつ、貧困層の救済も唱えた。「彼の立場が、日本の社会科学における保守派の基本でしょう。つまり日本の保守派には、自由主義が組み込まれているのです」 自民党を作ったのも、主に戦前の自由主義者。吉田茂や石橋湛山、緒方竹虎らはみな、反軍国主義的で自由主義経済を信奉し、皇室を崇拝していた。「