伶汰ちゃんを出産した後、佐々木さんは90歳の祖母と愛犬を連れて、東京の親戚宅に身を寄せている=5日、東京都品川区 震災7日目にこの世に生まれ出た我が子を、産湯に入れることができたのは5日後。宮城県石巻市から東京に避難した翌朝だった。そして1カ月。「石巻の人たちに『元気です』と伝えたい」という便りが朝日新聞に届いた。 陣痛が始まって17時間が過ぎようとしていた。 3月17日夜、石巻市にある石巻赤十字病院。震災で傾いた分娩(ぶんべん)台の上で、同市のステンドグラス教室講師佐々木(旧姓・四倉)有香子さん(34)は、1分間隔で来る陣痛に気を失いそうになっていた。赤ちゃんは、へその緒が首に巻き付いていて、なかなか出てこない。 意識がもうろうとしていた時、医師が叫んだ。 「津波で助かったから、頑張れるって言ったよね!」 最後の力を振り絞って、ようやく出産した。 3166グラムの男の子。多