仕事柄、色々な学術誌に目を通す事が多いのですが、極めて気になる寄稿記事を見つけたのでコメントしようかと思います。 アグネ技術センターの「金属」の6号に「原子力規制庁の技術評価は信頼できるか?圧力容器の照射脆化予測法をめぐって」*1という記事が載せられているのですが、かなり衝撃的な内容です。 金属 アグネ技術センター http://agne.co.jp/kinzoku/index.htm 簡単に説明しますと、原子炉の圧力容器は稼働中、間断なく中性子照射を受けます。圧力容器に用いられるのはインコネルという特殊なステンレスで高温では「粘り強い」のですが、ある一定の温度を下回ると「脆く」なる。この「脆く」なる温度の事を延性−脆性遷移温度(以下、遷移温度)と呼びます。問題は、中性子照射によってこの遷移温度が上昇することです。つまり原子炉が稼働を続ける限りどんどん“脆く”なっていきます。これが進行する