東京大学大学院農学生命科学研究科博士課程修了。同研究科准教授。木や草からエネルギーやマテリアルを生産する研究の第一人者。大学でキノコの酵素に魅せられ研究の道に進む。これまでの常識を疑うことで、酵素の「交通渋滞」解消によるバイオマス変換の高効率化をはじめ、バイオマス変換研究に革新を起こしている。 多くの人が「バイオマス」という言葉に、将来的な枯渇が危惧される石油・石炭に代わる「エネルギー生成の手段」というイメージを持っているだろう。しかし、本来バイオマスは「動植物に由来する有機物資源」のことを指し、エネルギー生成は資源の活用手段の一つにすぎない。東京大学大学院農学生命科学研究科(生物材料科学専攻)の五十嵐圭日子(きよひこ)准教授は、エネルギー利用だけにとどまらないバイオマスの高度利用を考える研究者である。我々人類にとって、バイオマスにはどのような可能性が秘められているのか、話を伺った。 衣食