スーフィーと呼ばれるイスラム神秘主義者の説話に、12世紀の聖なる愚者、導師ナスレッディンのこんな話がある。 ナスレッディンは街灯の下で四つんばいになって何かを探していた。「何を探しているんですか?」と近所の人たちがたずねる。 「鍵だよ」とナスレッディンは答える。そこで隣人たちは総出で鍵探しに加わり、街灯の周辺を1センチきざみで注意深く徹底的に調べる。でも鍵は見つからない。 「ところで、ナスレッディン」 ついにひとりがたずねる。「いったいどこで鍵を無くしたのですか?」「家の中だよ」「それじゃあ、どうしてここで探しているんですか?」「街灯の下のほうがよく見えるからに決まっているじゃないか」(p348) 多くの人は病気の原因を探し求めて、遺伝子やウイルスの研究に期待をよせます。心理学的なワークに取り組む人もいれば、神や宇宙の本質を追求する人もいます。(p408) しかし自分にとって探しやすい場所