「台湾ラーメン」や「台湾まぜそば」など、日本の飲食業界を席巻しているピリ辛のそぼろ肉を使った「台湾風」の原点をたどると、名古屋市にある「味仙(みせん)」という店に行き着く。味仙の創業者であり、現在も経営の第一線に立っている郭明優さんは、日本で生まれ育った台湾人だ。そんな郭さんがどうやって「台湾にない台湾ラーメン」をつくり出し、全国に広めたのだろうか。 台湾人が日本に広めた味 日本における広義の中華料理は、外来の料理でありながら、その流入の行程は単一ではなく、主に中国北部、中国南部、そして台湾の三種類に分けられる。例えば、国民食となったギョーザは中国の北部で食べている「鍋貼」が源流で、中国東北地方の出身者や満州などで生活した日本人引揚者が持ち込んだと言われている。 一方、これも全国で人気のちゃんぽんは、九州の長崎に移民した福建出身者がもたらしたもので、モデルとなる料理は「湯麺」だったとちゃん