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ブックマーク / himaginary.hatenablog.com (52)

  • スティグリッツの構造改革論・続き - himaginary’s diary

    昨日紹介したスティグリッツの恐慌論への反応のうち、Roweの批判とそれに対するデロングの擁護論は、専ら理論面に焦点を当てていた。 一方、ライアン・アベントは、そもそも実際のデータがスティグリッツの議論と整合的でないことを指摘した。その後、サムナーも昨日のエントリで、実証面でスティグリッツの議論がすべて――どれか一つではなくすべての段階で――恐ろしく説得力に欠ける、と批判した。 アベントの指摘は概略以下の通り。 2008年も1929年も最初の12ヶ月の経済の悪化は似たようなものだった。しかし、当時は中央銀行が引き締め策を取ったのに対し、今回は蛇口を開けた。その結果、1930年代当時は鉱工業生産が40%近く低下し、失業率が25%を超えたのに対し、今回はそれぞれ13%の低下と10%強であった。そのことからすると、金融政策が無効だったという結論ではなく、それは重要であり、更なる緩和策がもっと今回の

    スティグリッツの構造改革論・続き - himaginary’s diary
  • スティグリッツの構造改革論 - himaginary’s diary

    スティグリッツがヴァニティ・フェアに書いた大恐慌および大不況に関する記事(H/T Mostly Economics、Economist's View)が波紋を呼んでいる。 以下はその抜粋。 ...the inability of the monetary expansion to counteract this current recession should forever lay to rest the idea that monetary policy was the prime culprit in the 1930s. The problem today, as it was then, is something else. ... The underlying cause was a structural change in the real economy: the wide

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  • クリントン元大統領とオバマ大統領の違い - himaginary’s diary

    についてサマーズが面白い寸評を述べている。 “They’re very different people,” Summers said. “If you have a 2:00 meeting scheduled with Barack Obama, the meeting might begin at 10 of two … and it surely will have begun by 10 after two.” Summers added: “If you’ve sent him a 20-page memo before the meeting, he will have read the memo, and he will not appreciate your attempting to summarize the memo for him. … Your meeting

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  • プロテスタンティズムは経済発展に貢献した? - himaginary’s diary

    以前(2009/12/3エントリ)、マックス・ウェーバーの仮説を否定する実証研究を紹介したことがあったが、今度はそれを支持する実証研究が現われた(Mostly Economics経由)。書いたのは欧州大学院のChristoph Basten*1と欧州中銀のFrank Betz。 以下はその冒頭部。 Does culture, and in particular religion, exert an independent causal effect on politics and the economy, or is it merely a reflection of the latter? This question is the subject of a long-standing debate in the social sciences, with Karl Marx and Ma

    プロテスタンティズムは経済発展に貢献した? - himaginary’s diary
  • オバマ「高失業率は生産性の上昇のせいだ」 - himaginary’s diary

    Economist's Viewでも取り上げているが、デロングがこのブログエントリで引用した下記のロン・サスキンドの近著の一節は、オバマ大統領の保守的な経済観を明らかにしている。 Confidence Men: Wall Street, Washington, and the Education of a President 作者: Ron Suskind出版社/メーカー: Harper発売日: 2011/09/20メディア: ハードカバー購入: 1人 クリック: 17回この商品を含むブログ (1件) を見る 以下はその引用部で紹介されているエピソードの要約。 景気刺激策が足りなかったことが明らかになった2009年10〜11月頃、基的に財政タカ派であるオバマは、財政再建に重きを置くピーター・オルザグ(行政管理予算局[OMB]局長)の見解に同調するようになっていた。 オルザグは、再び700

    オバマ「高失業率は生産性の上昇のせいだ」 - himaginary’s diary
  • 米国人にとっての「経済成長」の意味とは? - himaginary’s diary

    と題した9/2付けEconomix記事でUwe Reinhardtが、以下の図を示している(原題は「What Does ‘Economic Growth’ Mean for Americans?」;Economist's View経由)。 Reinhardtによると、1975-2009年の34年間に、一人当たりGDPは年率1.9%上昇したが、家計所得の中位値の上昇率は年率0.5%未満に留まったという。 この点に関連してReinhardtは、Anthony Atkinson、Thomas Piketty、Emmanuel Saezによる最近の論文から以下の一節を引用している。 Average real income per family in the United States grew by 32.2 percent from 1975 to 2006, while they grew o

    米国人にとっての「経済成長」の意味とは? - himaginary’s diary
    kousyou
    kousyou 2011/09/11
    "富裕層が10%富裕になると、中間層の所得は2%低下する"
  • 東日本大震災で回避されたこと - himaginary’s diary

    Mostly EconomicsでCity JournalにClaire Berlinskiが書いた記事が紹介されていた。冒頭では阪神大震災と比較した東日大震災に対する彼女の評価が記されている。正直なところ小生にはその評価が正しいのかどうか判断が付きかねるが、以下に訳してみる。 地震危険度の削減は今日の世界が直面する都市政策にとって最大の課題である。それが言い過ぎだと思うならば、30秒で百万の人々が命を落とすようなことが他にあり得るかどうか考えてみて欲しい。それにも関わらず、地震に関する政策はあまり議論されることがなく、議論されたとしても誤解に満ちている。広島型原爆の6億倍のエネルギーを放出した3月11日の東日大震災を例に取ろう。続いて発生した福島の原子炉の部分的メルトダウンは原子力に対する国際的なヒステリー反応を引き起こしたが、それより遥かに致命的な脅威が回避されたことに気付いた人は

    東日本大震災で回避されたこと - himaginary’s diary
  • 緊縮政策は暴動を招く - himaginary’s diary

    ワシントンブログで知ったが、Hans-Joachim VothとJacopo Ponticelliという二人の経済学者が表題の主旨の論文を書いたという*1。両者はvoxeuにもその概要を投稿しており、既にEconomist's Viewが(The Irish Economy経由で)取り上げているほか、日語ブログではこちらのサイトで紹介されている。 著者たちはvoxeuで自分たちの得た結果について以下のように書いている。 One key determinant of the level of unrest should then be the scale of government expenditure cuts. We assemble cross-country evidence for the period 1919 to the present, and examine the

    緊縮政策は暴動を招く - himaginary’s diary
  • オバマは民主党のニクソンか? - himaginary’s diary

    とブルース・バートレット(Bruce Bartlett)が書いている(Economist's View経由)。 その心は、所属する党の強硬派とは反対の政策を推進している、という点にある。 ニクソンが大統領に就任した時、共和党の保守派は、彼が前任のジョンソン民主党政権の「偉大な社会」構想を逆転させることを期待した。しかしニクソンはそうせず、むしろそうした社会保障政策を補強するような政策を実施した。そのため彼は保守派から裏切り者と見做された。 同様に、オバマもリベラル派からブッシュ政権の政策を逆転させることを期待されたが、むしろそれを継続するような政策を実施している、とバートレットは指摘する。具体的には: 彼の景気刺激策はアドバイザーが必要だと思った規模の半分であった。 彼はブッシュの戦争と安全保障政策を変更無しに継続し、ブッシュ政権の国防長官を留任さえした。 彼が推進した医療保険政策はミット

    オバマは民主党のニクソンか? - himaginary’s diary
  • イスラム神学校は過激派の温床か? - himaginary’s diary

    という微妙なテーマの論文をNY連銀が出している(Mostly Economics経由)。 以下にMostly Economicsの要約に沿ってその内容を紹介してみると…。 パキスタンの3種類の学校から1521人の男子学生を募り、実験を行った。3種類の学校とは イスラム神学校(4校) 学生の大部分は貧しい地方出身者。リベラル系大学の学生と比べた場合、両親の収入は約1/10で、父親の教育程度は1/2、母親の教育程度は1/4。 学生の自己申告の宗教度(0〜10):9.2 イスラム系大学(1校) 男女別学。イスラムの教義を教育。 学生の自己申告の宗教度(0〜10):6.3 リベラル系大学(2校) 米国と同様の共学の大学。英語の授業で西洋の思想を教育富裕層の子女向け。 学生の自己申告の宗教度(0〜10):5.3 信頼ゲームと独裁者ゲームの2種類を実施。被験者は両ゲームで送り手と受け手の両方を演じる

    イスラム神学校は過激派の温床か? - himaginary’s diary
    kousyou
    kousyou 2011/07/10
    パキスタンということはおそらくデオバンド派のマドラサなので偏ってるとおもう。また特に自爆テロに及ぶ人々に共通する特徴として利他主義的傾向がある。
  • 米国経済を立て直すための9つのアイディア - himaginary’s diary

    ビジネスウィークが米国以外の国から米国経済を立て直す9つのアイディアを引き出している(Economist's View経由)。以下はその概要。 Fromドイツ 住宅ローンの総量を最低限にまで引き下げる 持ち家比率は米国がおよそ2/3に達しているのに対し、ドイツは46%と先進国中最低水準。住宅ローンの借り手の質が確保されているため、住宅価格変動が抑えられている。 ドイツ住宅ローンの頭金は最低で20%、通常は40%に達している。住宅ローン金利が税控除の対象とならないことと併せて、過剰な借り入れを抑止している。住宅ローン担保証券のローン資産価格比率は60%を超えることは無く、その証券は超安全資産となっている。またその証券のデフォルトリスクは銀行がすべて負うため、引き受けに慎重になるインセンティブが働く。 Fromブラジル 貧困層への援助 ルセフ大統領は6/2に「貧困のないブラジル」計画を発表*

    米国経済を立て直すための9つのアイディア - himaginary’s diary
  • ケインズ経済学の転生 - himaginary’s diary

    昨日のエントリで紹介したクルーグマンのルーカス批判では、「The Reincarnation of Keynesian Economics」と題されたマンキューの20年前の小論にリンクしている。そこでクルーグマンが孫引きしたのは、「The Death of Keynesian Economics(ケインズ経済学の死)」と題されたルーカスの記事の一節である。その一節は、マンキューの別の論説でも引用されており、そちらの論説は(ここで紹介したように)svnseedsさんの訳が存在するので、以下に該当箇所を引用してみる。 One cannot find good, under-forty economists who identify themselves or their work as ‘Keynesian’. Indeed, people even take offense if refer

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  • 大恐慌は大躍進だった? - himaginary’s diary

    下記ので、著者の Alexander J. Fieldがそう主張しているという。 A Great Leap Forward: 1930s Depression and U.S. Economic Growth (Yale Series in Economic and Financial History) 作者: Alexander J. Field Ph.D.出版社/メーカー: Yale University Press発売日: 2012/04/26メディア: ハードカバー購入: 1人 クリック: 18回この商品を含むブログ (2件) を見る Economixでは、そのFieldに対するインタビューが掲載されている(Mostly Economics経由)。概要は以下の通り。 1941年の米国経済の産出量は1929年に比べ40%増大したが、その間、労働および民間資の投入はほとんど増加して

    大恐慌は大躍進だった? - himaginary’s diary
  • 雇用にとっては企業の規模ではなく年齢が重要 - himaginary’s diary

    FT alphavilleの8/24エントリで、そう報告した論文が紹介されている。それによると、米国では小企業こそが雇用をもたらすと広く信じられているが、企業の年齢でコントロールするとその効果は消えてしまう、とのことである。 そのことは、以下の図に良く表れている。 これを見ると、従業員500人以下のスタートアップ企業が雇用全体に占めるシェアは3%に過ぎないのに対し、雇用創出におけるシェアは20%である。即ち、確かにこのカテゴリの企業は雇用創出に貢献していると言える。 しかし、同じ従業員500人以下の小企業でも、1-10年の若い企業では、むしろ雇用破壊の効果が雇用創出のそれを上回っている(そして、いずれのシェアも雇用のシェアに比べ大きい)。これは、「上昇か然らずんば退出か(up or out)」とも称される若い小企業の不安定性によるものである。 また、10年を超えた成熟企業では、小企業も大企

    雇用にとっては企業の規模ではなく年齢が重要 - himaginary’s diary
  • 失業に関する5つの神話 - himaginary’s diary

    WapoのFive mythsシリーズで、米国の経済政策研究所(Economic Policy Institute)のHeidi Shierholzが失業について書いている。以下はその要約。 失業手当ては人々に職を見つけにくくする 失業手当は、そもそもは解雇された労働者が自分の技術と経験に見合った職を見つける息継ぎの時間を与えるのが目的。しかし、今は息継ぎというよりはライフラインになっている。 確かに失業手当を打ち切れば失業者は必死に仕事を探すだろうが、今はその仕事が存在していないのだ。 失業保険は景気回復に寄与していない 失業者を支援するのは、職を創出する最も効果的な手段。というのは、失業者にとって、失業手当を料や家賃といった生活必需品に費やす以外に選択肢は無いので。 筆者(=Shierholz)の推計によれば、2009年の景気対策(ARRA)のうちの失業補償は、他に支出に回した場合に

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  • 消費税、法人税、所得税と設備投資 - himaginary’s diary

    nyanko-wonderfulさんとBaatarismさんが相次いで消費税増税を取り上げ、消費税をはじめとする各種税金の推移グラフを示した。それらのグラフを見て小生の目を惹いたのが、話題の消費税や法人税の推移もさることながら、バブル崩壊以降の所得税の急低下ぶりであった。 nyanko-wonderfulさんの示されたデータソース「長期時系列データ|統計情報|国税庁」を見てみると、一口に所得税と言っても、まず申告所得税と源泉所得税に分かれ、さらに源泉所得税の対象所得が、利子所得、配当所得、上場株式等の譲渡所得等、給与所得、退職所得、報酬・料金等所得、非居住者等所得に分かれていることが分かる。そこで、以下では、所得税を申告所得税、利子所得税、配当所得税、給与所得税、およびそれ以外の所得税に分け、法人税と消費税と並べて描画してみた(単位:兆円[以下同じ])。 これを見ると、申告所得税、利子所得

    消費税、法人税、所得税と設備投資 - himaginary’s diary
    kousyou
    kousyou 2010/07/08
    法人税減税より投資減税か。
  • レーガノミックスは経済成長をもたらしたか? - himaginary’s diary

    サムナーとクルーグマンがレーガン時代の改革を巡って軽く火花を散らした。両者の言い分を簡単にまとめると以下の通り。 クルーグマン([http //krugman.blogs.nytimes.com/2010/05/23/the-bestest-generation/:title=5/23補足]):レーガン政権時代に新自由主義的な構造改革が実施されるまでは、ニューディール期に導入された規制によって経済に足枷が嵌められていた状態だった、と右派の人々は言う。しかし、家計所得の中位値を見てみると、むしろ戦後からレーガン政権誕生前までは生活水準の向上が見られ、レーガン政権以降は停滞していることが分かる。 サムナー でもレーガン期以降の米国の経済パフォーマンスは、世界の他の国よりも良かったよ。 あと、1973年以降の成長率低下については、技術革新の問題が与って大きかったと思う。たとえば1927年にリンド

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  • 社会学に何を求めるか? - himaginary’s diary

    というブログエントリがあったので、以下に訳してみる(Economist's View経由)。 このブログで何回も論じたように、反実証主義の立場を我々が取り入れたものとしよう。つまり、社会学は自然科学をモデルとすべきではないし、社会現象には自然現象に特徴的な均一性や一貫性を期待すべきではないし、社会の法則を発見すると期待すべきではない、ということだ。その場合、ポスト実証主義的社会学にはどんな知的課題が残されているだろうか? 我々は社会学に何を求めるのだろうか? 以下は、幾つかの重要かつ実行可能なテーマである。 社会の動き/集団行動/よくある政策 の記述および理論 ファシズム、植民地主義、財政制度といった大規模な歴史的かつ社会政治的構成物の比較研究 社会的不平等(人種、性、階級、民族)とそのメカニズムの記述的分析 主要な社会制度(企業、組合、大学、政府、宗教、家族)の記述的ならびに理論的な説明

    社会学に何を求めるか? - himaginary’s diary
  • 米国がビザンティン帝国に学ぶこと - himaginary’s diary

    Foreign Policy誌にエドワード・ルトワックが、米国はローマ帝国ではなくビザンティン帝国を範とすべし、と書いている(The Big Picture経由)*1。 ルトワックに言わせれば、ローマ帝国の容赦無い拡張主義や外国人支配や全面戦争の手法を米国が真似たら、却って没落を早める、むしろローマ帝国よりも8世紀長続きしたビザンティン帝国の方を手にすべし、とのことである。また、ローマ帝国はあまり戦術・戦略に関して文献を残さなかったが、ビザンティン帝国はすべて書き残しているという。ルトワックは過去20年間にそれらの文献を渉猟して、以下の7つの米国への教訓を引き出したとの由。 戦争は可能な限り避けよ。ただし、いついかなる時にも戦争が始められるかのように行動せよ。訓練を怠ってはならず、常に戦闘準備態勢にあるべきだが、戦争を望んではならない。戦争準備の最大の目的は、戦争を余儀なくされる確率を減

    米国がビザンティン帝国に学ぶこと - himaginary’s diary
  • 経済学者は感情で動く - himaginary’s diary

    クルーグマンが経済論争に関して面白いことを書いている。以下はその拙訳。 ゴドウィンの法則の拡張提案 ゴドウィンの法則――ネットでの議論がある程度長引くと、相手をヒトラーに喩える輩が必ず出てくる――は、もし実際に相手をナチに喩えることに走ったら、議論に負けたことになり、もはやまともに相手にされなくことを意味する、と解釈されることが多い。私はその解釈に全面的に同意する。(それは共和党の重要人物の意見をもはや真剣に受け止めるべきではないことを意味するのか? 答えはイエスだ) しかし、倫理的にナチの喩えと同等の喩えは数多く存在し、それらはやはり同じ扱いを受けるべきである。私がここで提案したいのは、 ある分野での一層の政府の行動を求める声――雇用創出、医療改革、その他諸々――に対し、ソ連の例を引き合いに出して反応する人 もしくは 適度なインフレないしドル安が受け入れ可能という提案に対し、ジンバブエの

    経済学者は感情で動く - himaginary’s diary