「磯焼け」という言葉をご存じだろうか。海底に海藻が少なくなって岩肌が露出し、生物多様性が失われる「海の砂漠化」と呼ばれる現象だ。近年、各地の海で問題になっている。 本書『プロダイバーのウニ駆除クエスト 環境保全に取り組んでわかった海の面白い話』は、磯焼けを憂慮するプロダイバーで「スイチャンネル」を運営するYouTuberでもある中村拓朗氏が、海藻が繁茂する藻場を再生するために5年間にわたって繰り広げた試行錯誤の記録だ。 著者のクエスト(冒険)は、磯焼けの一因とされるウニの駆除から始まるのだが、進めるうちに、どうやらウニだけが犯人ではないとわかってくる。海の環境保全をテーマとしつつ、軽妙な文体でつづられる著者の奮闘ぶりや、犯人探しのような謎解きが面白い。 育てた1000匹のウニが全滅 主な舞台は、著者の故郷であり活動の拠点である長崎の角力(すもう)灘などの海だ。ダイビングが大好きな著者は、水