あれはゴールデンウィークのことだった。まだ幼い私はなんらかの理由で母に新しいゲームソフトを買ってもらえることになり(たぶんゴールデンウィーク中は出かけられなかったのでそれで遊べということなのだろう)、一緒にゲームショップへと行ったのだ。そしてひとつのゲームに目をつけた。 それが欲しいと母に伝えると、彼女は「本当にこれでいいの?」と何度も念を押した。母は今も昔もゲームには疎く、正直なところ今の私がどんな仕事をしているのかもよくわかっていない。そのくらいゲームに関しては詳しくないというのに、このときばかりはそのゲームソフトに対して疑念を抱いていたのだ。 それにしても子供というのは……いや、昔の私は馬鹿なものだ。自分が具体的に何が欲しいのかをわかってもいないのに、何かを目にすればそれが欲しい欲しいとねだるばかり。少なくとも、この件に関しては間違いなく母が正しかった。なぜなら私が手にしたのは、ファ
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