ミリタリーマニアなら銃器や戦争の知識で軍人や参謀として活躍できる。サラリーマンでも経済の知識を活かして金を稼ぐことができる。シェフなら料理の腕をふるって大出世間違いなし。そうした職業持ちなら栄達間違いなしの異世界への転移・転生で、作家という職業持ちは活躍できるのか? そんな問いに驚くような答えを出してくれているのが、野田宏原作、若松卓宏作画の漫画で20204年7月からTVアニメもスタートした『異世界失格』だ。死にたいと言うだけの役立たずだが、作家ならではの人を観察して物語を紡ぐ力(スキル)をふるい、異世界に旋風を巻き起こす。 昭和23年(1948年)6月13日。ドドドドドと流れる玉川上水の側で、「先生」と呼ばれている和装の男と着物姿の女が、手首を紐でつないで入水でもしようとした。そこにトラックが現れ、2人を跳ね飛ばしたところから『異世界失格』という物語の幕が上がる。 意識を失っていたらしい