〔PHOTO〕iStock 実体験としての「憲法・国家・人権」 私が憲法研究者になる上で影響を受けた本を選びました。『憲法の想像力』を書かれた奥平康弘先生は著名な憲法学者で、昨年惜しくも亡くなられましたが、社会的なニュースにもなった事柄を、憲法の視点から柔軟に考えてみるということをされています。 本書で扱われているのは、たとえば'99年にニューヨークのジュリアーニ市長がブルックリン美術館への公金支出を中止すると表明し、騒動となった事件。 マリア像の素材に象の糞を使ったケニア出身の画家の作品の取り扱いをめぐるやりとりから、表現の自由について考えていく。 奥平先生の学問的な代表作ではないですが、実社会の出来事から憲法について説き起こす姿勢には「研究者が専門分野の殻に閉じこもっていたのでは意味がない」と強く教えられました。 次の『比較不能な価値の迷路』は、私が大学2年の時、進路を決めるきっかけと