日本航空の経営再建問題で、企業年金の支給額削減が大きな焦点となっている。日航では退職者に将来にわたって支払う給付金約3千億円が積み立て不足に陥っており、経営を圧迫しているからだ。しかし、受給者保護のため、企業年金の削減は簡単にできない仕組みになっている。政府は、強制的に支給額を削減する特別立法を検討しているが、強制削減は憲法の「財産権」の侵害に当たる可能性があり、立法化には課題が山積している。 企業年金は、企業が従業員の福利厚生の一環として任意に実施するもので、公的年金である基礎年金、厚生年金に上乗せされ、プラスアルファの保障が受けられる。企業の負担で支払われるケースが多い。 日航の年金は、平成14年に施行された確定給付企業年金法に基づいており、賃金の後払いの性格が強いことから、法律で受給権が保護されている。 支給額を圧縮するには、(1)企業や基金の財政状態が悪化している(2)受給者の3分