ギフチョウの命名者として知られる昆虫学者、名和靖(1857~1926)が所長を務めた旧名和昆虫研究所(岐阜市)が1908年(明治41年)に発行した希少豪華本「蝶蛾鱗粉(ちょうがりんぷん)転写標本」の画像100枚が県図書館のホームページで「本日の蝶々さん」として紹介されている。ギフチョウやナガサキアゲハなど100種類を収録している標本は、100年以上経過しているとは思えない色鮮やかな美しさで、注目を集めている。(大隅清司) この標本は縦27センチ、横20センチの大きさ。のりを使ってチョウやガの羽の模様を鱗粉ごと紙に写し取った後、胴体や触角を精密に描いて完成させる技法が用いられている。名和昆虫研究所の後身・名和昆虫博物館は「写真技術がまだ発達していない時代の画期的な標本で、美術工芸的な色彩も強い」と本の希少性を説明している。 本の当時の値段は1冊25円。米10キロあたり1円38銭の時代だっただ