4月25 片岡剛士『アベノミクスのゆくえ』(光文社新書) 9点 カテゴリ:政治・経済9点 前作『円のゆくえを問いなおす』(ちくま新書)でも丁寧で鋭い分析を見せていた片岡剛士の新刊は新書における「アベノミクス分析・一番乗り」の本にして、 しばらくこれで十分だろうと思わせる本。前作は、安達誠司『円高の正体』(光文社新書)とやや内容がかぶっていて遅れを取った感じもなくはなかったのです が、今作は出版のタイミングも内容も申し分ないと思います。 「アベノミクス」は、「大胆な金融緩和」、「機動的な財政政策」、「民間投資を喚起する成長戦略」の「3本の矢」からなっており、その中でも注目が集まっているのが、新しく総裁に就任した黒田東彦総裁による「異次元緩和」とも呼ばれる「大胆な金融緩和」です。 実際、この「大胆な金融緩和」が「円安・株高」の流れをつくり出し、経済に明るい展望をもたらしていますが、この政策に対