それまで戦争とか紛争とかは、どこか遠い国のお話……と思って生きてきたのに、気付いたらすぐ隣に歴史的な危機が迫っていた。 せめて、この「恐怖」を奇貨として、クライシスの背後にある直近の現代史と、日本と米国の関係を基本から理解しておこうではないか。外交・インテリジェンスの第一人者、手嶋龍一に、ジャーナリスト、清野由美が入門して、いろいろ聞いていきます。 清野:戦後の長い時間の中でも、2017年は北朝鮮クライシスが一気に具現化した年でした。日本でも危機感が高まり、メディアにはさまざまな情報や見立てが入り乱れています。しかもここにきて、米朝トップ会談の可能性が浮上するなど、情勢は刻々と動いて、予断を許さない。もう、どうなってしまうんだろう、と心配でたまりません。 手嶋:確かに「クライシス」ではあるのですが、各地の「戦争」と日常的に付き合ってきた者から見れば、日本でも危機はずっと以前から身近にあった