中国政府「国家衛生・計画出産委員会」(以下「国家衛計委」)の庁舎は、北京市の中心に位置する“天安門広場”から北西に直線距離で約5kmに所在する“西直門”に程近い場所にある。12月1日、その国家衛計委の門前に1000人近い人々が集まって陳情デモを行い、庁舎に向かって声を張り上げて要求を訴えた。その要求とは彼らの“養老(老後生活)”への保障を求めるものだった。 一人っ子を失った親たちの不安 10月29日、中国共産党は過去35年間継続して来た「1組の夫婦が出産してよい子供を1人だけ」とする“独生子女政策(一人っ子政策)”を完全に放棄して、「1組の夫婦が出産してよい子供を2人まで」とする政策(以下「二人っ子政策」)に転換することを発表した<注1>。この計画出産政策の画期的な転換に衝撃を受けたのは、一人っ子政策に従って1人の子供をもうけたが、後に病気や事故で“失去独生子女的家長(一人っ子を失った親た