神童と呼ばれ育った横辺建己よこべたてきは、驚異的な記憶力を武器に西の名門といわれる吉田大学理学部に合格。ノーベル賞受賞者を多く輩出しているこの大学で物理学者を目指すが、初日の「微分積分学」の授業をまったく理解できずに絶望。2年間大学に行けなくなるという人生初の挫折を味わう。しかし、頭はいいけど奇人変人だらけの友人たちと共に、もう一度数学に向き合い、卒業を目指すことに!
「東大卒にあらずんば人にあらず」 受験生のころに頭のなかに思い描いていた理想の自分と、東大に入ってから突きつけられる現実—— そのギャップを認識したうえで、「自分は決して特別な人間なんかじゃない」と開き直ることができれば気は楽になる。 さらに「せめて、いまの自分にできることを一生懸命にやろう」とまで考えが至れば、前向きに生きていける。 僕にかぎらず、大半の凡庸な東大卒業生は、そういう気持ちの折り合いをつけて自らの人生を生きているはずだ。 しかし、ごく一部に、現実を受け止められず、かといって努力で現実を克服しようともせず、東大以外の大学とその学生・卒業生を見下すことで、精神の安定を保とうとするものたちもいる。 それが、「プライド肥大型」の東大卒だ。 彼らのものの見方は、「平家にあらずんば人にあらず」ならぬ「東大卒にあらずんば人にあらず」である。 このような特権意識が形成されるのに理由がないわ
子供たちに「一人一台端末」を配る国の「GIGAスクール構想」の被害者が出た。昨年、全国に先駆けて端末を配った東京都町田市のICT推進校で、小6の女の子がいじめを苦に自殺したのだ。配布端末のIDは出席番号、パスワードは全員「123456789」で、なりすまし被害が横行していた。当時の校長は、20年以上前からICTを学校教育に取り入れてきた先駆者で、GIGAスクール構想の旗振り役として知られる人物だった――。 学校で配られた端末でYouTube見放題 「あれ、和哉(仮名)、まだYouTube見ているの?」 昨年9月某日の夜11時。ベッドの上で寝転びながら、動画を見ている小学6年生(当時)の和哉さんを見て、母の小林愛菜さん(仮名)は驚いた。小林家では夜9時以降、クロームブックは使えない設定にしていた。「宿題をやっていた」と言い訳する和哉さんからクロームブックを取り上げて、YouTubeからログア
能「自然居士」で描かれた“身売り少女”の悲劇 世阿弥(1363?~1443?)の父、観阿弥(1333~1384)が作ったとされる能で、「自然居士じねんこじ」という作品がある。 主人公の自然居士は、鎌倉時代の京都に実在した半僧半俗の説経師。彼の説法は庶民にもわかりやすい解説とパフォーマンスで知られ、彼が登壇する説法会はいつもファンで超満員だった。いわば当時のカリスマ・タレントである。 ある日、京都東山の雲居うんご寺というお寺での出来事である。この日は、寺の修繕費集めのための7日間におよぶ、自然居士スーパー説法ライブの最終日だった。境内は自然居士目当ての信心深い男女で大賑わい。そんな聴衆のなかに、死んだ両親の供養を願って、美しい小袖をお布施として持参してきた14~15歳の少女がいた。 じつは彼女は、自分の身を人買い商人に売って、それで得た代金で小袖を買い、両親のための読経を依頼しにきたのだった
若者に人気のYouTube。それは視覚障害のある若者の間でも同じだ。ある盲学校の生徒たちは「YouTubeでヒカキンの番組をよく見る」という。彼らはどうやって動画を楽しんでいるのか。「Screenless Media Lab.」による連載「アフター・プラットフォーム」。第3回は「スマホの登場がすべてを変えた」――。(第3回) 視覚に頼った番組や広告が増えている インターネットの発達とスマートフォンの普及により、人が日々さらされる情報量は近年、飛躍的に増加し、情報過多の弊害が指摘されるようになった。 2018年にNHK放送文化研究所が実施した「情報とメディア利用」世論調査でも、年代を問わず多くの人が「情報が多すぎる」「情報疲れが起きている」と回答している。 いつ頃からか、テレビには頻繁ひんぱんに字幕が入るようになった。字幕機能の設定にかかわらず、番組中のすべてのコメントが字幕表示される傾向が
もともと日本の道路交通法上では「原動機付自転車(原付)」に分類されるが、今回、国から特例措置を受けた4社の電動キックボードは「小型特殊自動車」として公道走行が認められた。 これより今後、ドライバーやサイクリスト(自転車乗り)たちは、この新しいモビリティと頻繁に車道を共有することになる可能性があるわけだが、元トラックドライバーという観点から率直に言うと、どうして日本の道路状況下で、この電動キックボードの走行が許されたのか理解できない。 ルールの曖昧さと道路の狭さから、自転車と自動車すら安全かつ平和的に道路を共有できていない現在。このモビリティを走らせるには危険が多すぎる。 筆者は東京の渋谷駅、代々木公園周辺で実際に乗って確認してみた。モビリティを詳説しながら、その感想を率直に述べる。 「時速15km」と「ヘルメット任意」 先述どおり、特例措置が認められた4社の電動キックボードは、これまで必要
自分で決められる子になる「3つの言葉」 私はおととしまで、東京都の千代田区立麹町中学校で校長を務めていましたが、毎年、中1の入学後に着手するのは、生徒の主体性を取り戻すリハビリでした。 今の子たちの中には、幼いときから勉強も遊びも与えられ続け、親や大人の指示にしたがってきた子が少なくありません。 そういう子は、楽しいことも、やるべきことも、外から与えられるのが当然と、無意識で思ってしまっています。その結果、自分で決めて行動することができない子が多いのです。 また、日本の学校教育は、「起立、気をつけ、礼、着席」に象徴されるように、すべて命令形です。これでは主体性は育ちません。 主体性を失ってしまった子を変えるために、問題が起きるたびに私たちが繰り返し使ってきた三つの言葉があります。 まず一つ目の言葉は「どうしたの?」です。お互いに現状を把握する言葉です。その回答がどんなに勝手な理由でも叱った
アマゾンなどの動画配信サービスは「新作は無料、旧作は有料」というケースが多い。これはレンタルビデオ店の「新作は割高、旧作は割安」とは正反対だ。なぜこうなっているのか。「Screenless Media Lab.」による新連載「アフター・プラットフォーム」。第1回は「新作無料、旧作有料のビジネスモデル」――。(第1回) 価格体系がひっくり返っている 1980年代から90年代、ツタヤやゲオといったレンタルビデオ店に行くたびに、レンタル期間の設定が私たちを悩ませた。貸出期間で値段も変わるため、一泊や一週間、あるいは当日にレンタルして急いで作品をみたものだ。また新作は値段も高く、せいぜい一泊しか貸し出しができなかった。 一方、コロナ禍の影響もあって、音楽や動画作品をオンラインで視聴するサービスが普及し、これまで比較的マイナーであった会員制(サブスクリプション)モデルが広く普及した。 このサブスクリ
勉強しているのに英語力がまるで伸びない。自分の勉強法が正しいのか、疑問を感じている。そんな悩みを持つビジネスパーソンも多いのではないだろうか?カリスマ英語講師として絶大な人気を誇る関 正生先生に、挫折しないで英語学習を継続するための心得と、モチベーションが途切れない正しい勉強法についてうかがった。 関 正生(せき・まさお) リクルート運営オンライン予備校 「スタディサプリ」「スタディサプリENGLISH」講師 1975年、東京生まれ。慶應義塾大学文学部(英米文学専攻)卒業。TOEIC® L&R Test 990点満点取得。『CNN ENGLISH EXPRESS』やNHKラジオ『基礎英語3』でコラム連載中。企業講演、社会人向けの各種セミナー、英語教材の監修ほか、活動は多岐にわたる。著書は『サバイバル英文法』(NHK出版)、『世界一わかりやすい授業』シリーズ(KADOKAWA)など75冊。
学校ではほとんど行われていない性教育。一方、最近家庭向けの本が次々と出版されており、性教育に注目が集まっている。長年学校現場で性教育に携わり、共著で出したコミックエッセイ『おうち性教育はじめます』が話題の村瀬幸浩さんと、「社会から性差別をなくすためには男の子の育て方がカギ」と説く弁護士の太田啓子さんが、日本の大人の「性」に対する知識の欠如について語った――。 私たちは、性についてまともに学んでこなかった 【太田】今、性教育に関心を持つ親が増えています。子どもにはしっかり教えなければマズいという「危機感」を持っているのですが、そもそも親たちも性について教えられていません。どう伝えればよいかもわからず、モヤモヤしているんじゃないでしょうか。 特に女性は、自分がこれまでに男性から言われたりされたりして嫌な思いをしたさまざまな経験から、「息子があんな男になってしまったらどうしよう」と思っている人も
昨年6月、N高等学校の「投資部」特別顧問に就任した投資家の村上世彰氏。村上氏が資金を提供して、高校生44人が実際に投資体験をした。投資のタイミング、投資家に求められる条件、お金の本質などを教える講義の際、村上氏はある生徒の質問を「学習効果がないな(笑)」とバッサリ切った。いったい何があったのか――。 投資家・村上世彰から各20万円を提供されたN高生44人が投資 「お金の本質を多くの若者に理解してもらいたい」 私、村上世彰は、そんな思いでN高等学校(N高)投資部の特別顧問を引き受け、10カ月にわたって高校生の投資教育に取り組みました。高校生44人に、ひとりあたり20万円を支給。投資先は東証上場銘柄に限定し、損をしても返済は不要で、利益が出た場合は部員個人のものになるというルールです。 下記は、彼らに講義した際の質疑応答の様子です。 質問1【暴落で買うか、上昇トレンドで買うか】 【部員】「株は
教えたいのに生徒が集まらない 1970年5月。青年海外協力隊(JOCV)の隊員として岡本秀樹がシリアに派遣され半年近くが過ぎようとしていた。彼はこのとき28歳、空手を始めて12年になる。 時代錯誤の高下駄に「蒙古放浪歌」。しかも何を思ったか岡本は羽織袴はかま姿である。通りを行き交う地元住民が、怪訝けげんな顔でこの男の通り過ぎるのを見るのも無理はない。 一方、こうした芝居がかったことをしている岡本本人には時代錯誤の思いは微塵みじんもない。体中を突き抜けんばかりに沸き起こる怒りに自分が抑えられなくなっている。 岡本はこの国の若者に幻滅していた。シリアの警察学校で空手を教えていたが、この伝統武道の知名度は低く、生徒が集まらない。ブルース・リーの主演映画「ドラゴン危機一発」が香港で大ヒットするのは翌71年である。当時のシリアでは戦える技としてはボクシング、レスリングが主流であり、続いて自己防衛とし
現代人は日頃どんなものを食べているのか。厚生労働省の「国民健康・栄養調査」を調べた統計データ分析家の本川裕氏は、「とりわけ『食料に困っている者』は全体平均に比べ、米や小麦などの穀物や豚肉を多く食べていることがわかった」という――。 連載をはじめるにあたって 今回からスタートする本連載では、日々、公表される統計データの中から、かなり興味深い内容であるにもかかわらず見逃されてしまっているものを主に取り上げ、読者の好奇心や日頃の関心に応えようと考えている。 例えば、一般に考えられている常識や価値観とは異なる方向の動きを統計データが示していたり、政府やメディアが自分たちの主張に沿うかたちで取り上げている統計データが、実は、それとは異なる内容を持っていたりする。「統計探偵」を自負する筆者が、そんな「意外な事実」を紹介していきたい。 また、データの信ぴょう性の根拠、あるいは間違った読解につながりやすい
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