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ブックマーク / shorebird.hatenablog.com (9)

  • 書評 「人を動かすルールをつくる」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    人を動かすルールをつくる――行動法学の冒険 作者:ベンヤミン・ファン・ロイ,アダム・ファインみすず書房Amazon 書はヒトがルールに対してどのように反応して行動するかという行動科学的視点にたって法(特に立法政策)を考える試み*1についての一般向けの解説書だ.著者のロイとファインはともに法学者で法と行動科学,法と行動の相互作用を専門としている*2. 法,特に刑事法は人々の行動を変えようとするものでもあり,うまく人々の行動を変えるには,ヒトがルールに対してどのように反応するかは重要な論点のはずだが,実際に法を作っている人々はそのような行動科学のトレーニングは受けていないし,非常に単純な前提しかおいていない.著者たちはそういう立法実務は非効率でり,行動科学を取り入れた法のデザインが重要だと主張している.行動経済学とちょっと似た視点にたっていて,興味深い.原題は「The Behavioral

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  • 書評 「アメリカン・ベースボール革命」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    アメリカン・ベースボール革命: データ・テクノロジーが野球の常識を変える 作者:ベン・リンドバーグ,トラビス・ソーチック化学同人Amazon 書は「マネー・ボール」に始まるメジャーリーグにおける数理統計やデータサイエンスの応用の最新動向を扱ったになる.著者はベン・リンドバーグとトラビス・ソーチック.いずれもジャーナリストで,ソーチックは「ビッグデータ・ベースボール」の著者でもある. メジャーリーグにおける格的な数理統計の応用は「マネー・ボール」で紹介されたセイバーメトリクスの利用から始まる.これは選手の能力や貢献を測るためには伝統的な成績指標(打率,打点など)よりも有効な指標(長打率,出塁率など)があることを理解し,フリーエージェント市場で割安に選手を調達し,強いチームをつくることを目指したものだ.しかしこの手法の有効性が多くの球団に認められると優位性はなくなる.次に現れたのは「ビッ

    書評 「アメリカン・ベースボール革命」 - shorebird 進化心理学中心の書評など
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    lEDfm4UE 2021/08/14
    “アメリカン・ベースボール革命」”
  •  「生物学の哲学入門」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    生物学の哲学入門 作者:良太, 森元,泉吏, 田中発売日: 2016/08/26メディア: 単行 書は森元良太,田中泉吏という2名の若手哲学者による「生物学の哲学」の入門書だ.進化理論とそのダーウィン以降の学説史を簡単に解説し,いくつかの哲学的なトピックを選んで,これまでに議論されてきたことをまとめている. 第1章 進化理論と進化学説史 ダーウィンのOrigin(種の起源)のテーマが何かというのは,いろいろな読み方があって,ソーバーがそれで一冊書いている.ここではダーウィンの論証の鍵は生命の樹仮説と自然淘汰説の2つだと平行的にまとめている.それぞれの解説は簡潔で要を得ている.ただし自然淘汰の条件として,変異の存在,変異が適応度にかかるものであること,変異が遺伝することの3つのみをあげていて,競争の存在をあげていないのは少し引っかかる*1. ここでダーウィンの論法が「最善の説明への推論(

     「生物学の哲学入門」 - shorebird 進化心理学中心の書評など
    lEDfm4UE
    lEDfm4UE 2017/01/15
  •  「シグナル&ノイズ」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    シグナル&ノイズ 天才データアナリストの「予測学」 作者: ネイト・シルバー,西内啓,川添節子出版社/メーカー: 日経BP社発売日: 2013/11/28メディア: 単行この商品を含むブログ (25件) を見る 書は2008年と2012年のアメリカ大統領選挙の州ごとの勝敗を驚異的な精度で予測したことで一躍有名になったネイト・シルバーによる統計的な手法を駆使することによる予測についてのだ.原題は「The Signal and the Noise: Why So Many Predictions Fail - but Some don’t」 序章では予測にかかる今日的な問題が書かれている.1970年代までの様々な予測は「少ないデータからどう予測するか」が問題だった.現在では「多すぎるデータをどう使うか,どうノイズとシグナルを見分けるか」が問題になっているのだ.シルバーはいわゆる「ビッグ・

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  •  「クモはなぜ糸を作るのか?」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    クモはなぜ糸をつくるのか? 作者: Leslie Brunetta,Catherine L. Craig,宮下直,三井恵津子出版社/メーカー: 丸善出版発売日: 2013/06/29メディア: 単行(ソフトカバー)この商品を含むブログ (3件) を見る 書はクモ学者キャサリン・クレイグが,サイエンスライターのレスリー・ブルネッタと組んで手がけたクモの進化生物学に関する一般向けの啓蒙書だ.原題は「Spider Silk: Evolution and 400 Million Years of Spinning, Waiting, and Mating」. 構成としては,クモの進化史を縦糸に,関連する進化学のテーマを横糸に織り込んで組み上げられている. 序章においてクモが概説される.そして特にクモの糸がクモの進化生態の上でも,それを分析するツールとしても大変に有用であることが強調されている.

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  •  「国家はなぜ衰退するのか」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    国家はなぜ衰退するのか(上):権力・繁栄・貧困の起源 作者: ダロンアセモグル,ジェイムズ A ロビンソン,稲葉振一郎(解説),鬼澤忍出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2013/06/21メディア: 単行この商品を含むブログ (31件) を見る国家はなぜ衰退するのか(下):権力・繁栄・貧困の起源 作者: ダロンアセモグル,ジェイムズ A ロビンソン,稲葉振一郎(解説),鬼澤忍出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2013/06/24メディア: 単行この商品を含むブログ (21件) を見る 書は政治経済学者のダロン・アセモグルとジェイムズ・ロビンソンによる,彼らの10年以上にわたるリサーチブログラムの成果を一般向けに書き下ろした「Why Nations Fail: The Origins of Power, Prosperity, and Poverty」(2012)の邦訳だ. 基

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  • 「Risk Intelligence」 第5章 群集の狂気 その1  - shorebird 進化心理学中心の書評など

    Risk Intelligence: How to Live with Uncertainty (English Edition) 作者: Dylan Evans出版社/メーカー: Free Press発売日: 2012/04/17メディア: Kindle版この商品を含むブログ (21件) を見る エヴァンスは第4章においてRQにネガティブな影響を与えるヒューリスティックスを見てきた.それらのうち,「望むことは起きやすいと思う」「何かを信じるとそれを確かめる証拠だけ探す」「過去からずっとそう信じていたと思う」「ヒトの嘘を見抜けると考える」は基的に自信過剰傾向,そしてその裏の自己欺瞞を支えるメカニズムだ.何故このようなメカニズムがヒトの心にあるのだろうか.エヴァンズはここで自信過剰傾向の進化的な説明を行っている.エヴァンズの指摘は「社会的環境でカリスマや権威を与える」「争いの際にはったりの

    「Risk Intelligence」 第5章 群集の狂気 その1  - shorebird 進化心理学中心の書評など
  •  「進化生態学入門」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    進化生態学入門 ―数式で見る生物進化― 作者: 山内淳出版社/メーカー: 共立出版発売日: 2012/10/24メディア: 単行購入: 3人 クリック: 72回この商品を含むブログを見る 書は数理生態学者山内淳による進化生態学の入門書.副題は「数式で見る生物進化」とつけられており,適応にかかる進化理論を数式で表現しながら解説していくことが骨格になっている. 題の数式による適応進化理論にはいる前に,まず第1章では「進化に関する基礎知識」が解説されている.普通の解説ではダーウィンから始めるところだが,書ではまず遺伝情報の実体から始めている.歴史的物語から始めるより進化の筋道を基礎から積みあげて説明したいという趣旨だろう.いかにも理論家らしく,その順序には含蓄がある. 具体的には,染色体,DNA,アミノ酸との対応コドン表,タンパク質合成機構,減数分裂,メンデル,連鎖と組換え,主働遺伝子と

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  •  「The Folly of Fools」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    The Folly of Fools: The Logic of Deceit and Self-Deception in Human Life 作者: Robert Trivers出版社/メーカー: Basic Books発売日: 2011/10/25メディア: ハードカバー購入: 3人 クリック: 61回この商品を含むブログを見る 書は互恵的利他行為,親の投資,コンフリクトなどの数々の啓発的な進化理論を主導したことで知られる進化生物学者ロバート・トリヴァースによる自己欺瞞についてのだ.トリヴァースは「動物の信号が(ドーキンスのいうように)他者への操作のためだとしたら,それは相手側に嘘を見抜くような対抗進化を生じ,さらに操作側に見破られないための自己欺瞞が進化するだろう」というアイデアを最初に思いつき,それを1976年のドーキンスの「利己的な遺伝子」初版の序文で提示したことで知られて

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