4000メートルの崖にかこまれ、そとの世界を知らない町がありました。 町はえんとつだらけ。 そこかしこから煙があがり、あたまのうえはモックモク。 朝から晩までモックモク。 えんとつの町に住むひとは、くろい煙にとじこめられて、 あおい空を知りません。 かがやく星を知りません。 町はいま、ハロウィンまつりのまっただなか。 魔よけの煙もくわわって、いつもいじょうにモックモク。 あるとき、 夜空をかける配達屋さんが、煙をすってせきこんで、 配達中の心臓を、うっかりおとしてしまいました。 さすがに視界はこのわるさ、どこにおちたかわかりません。 配達屋さんはさっさとあきらめ、夜のむこうへスタコラサッサ。 ドクドクドクドクドックドク。 えんとつの町のかたすみで、あの心臓が鳴っています。 心臓は、町のはずれのゴミ山におちました。 ドクドクあばれる心臓に、ゴミがあれこれくっついて、ついに生まれたゴミ人間。