威勢のいい言葉が飛び交っている。「どうすれば勝てるのか」(「文芸春秋」11月号)、「中国をやっつけろ」(「週刊文春」10月4日号)を筆頭に、「週刊現代」の10月中の4号は、「中国が攻めてくる」(6日号)に始まり「中国よ、日本が勝つ」(27日号)まで、巻頭特集はすべて中国だ。ほかにも「野蛮な中国」(「新潮45」11月号)や「中国よ、あきらめろ!」(「週刊朝日」10月12日号)と読者を煽(あお)る。領土を守るために立ち上がろう、との国威発揚キャンペーンを思わせる勢いだ。記事中では、国防力の増強が主張され、防衛費の増額が当然との主張にも結びつく。戦争時の危機管理が想定されていない憲法に問題があるなど、これを機に放談の様相すら示している。 言論の自由の重要な要素が多様性であり、その意味で様々(さまざま)な論評が闘わされることは好ましい。しかしそのことと、メディアが一方的に中国叩(たた)きをすること