山川出版社の世界史リブレットはテーマ毎に基本事項がコンパクトに大体80~90ページほどでまとまったシリーズで、本書は同シリーズのヨーロッパ史のテーマを扱ったものとしてはナンバリングが一番若い。 中世ヨーロッパ史について学ぶ上で何から押さえていくかというとき、異端の問題、すなわちキリスト教の布教によってローマ・カトリック教会を頂点とした秩序が形成される中で正統と異端とはどのように現れてきたのか?から始めるのは重要な入り方の一つであると思う。 中世の異端というのは単純に教義の対立によってだけではなく、ローマ・カトリック教会との関係性、すなわち服従するか否かによって異端として断罪される。いわゆる「不服従の異端」が主流となっていくので、その教会の権力が確立して、異端と呼ばれた人々はいかにして異端とされるようになったのかを理解していくと、中世ヨーロッパ社会の在り方の一端を見ることができるし、そのあり