秋葉原での通り魔殺人事件について、私が知ったのはその日の昼過ぎだった。あるSNSで、知人が、その方の知人の安否を心配しておられた。情報関係の仕事をしていて、アニメとSFにもだいぶ傾倒しているとなれば、まあ当然の心配だろう。私もまず気をもんだのは、知人でそういう場所にいそうな人の安否で、そこでテレビをつけるという気が起きなかったのはいま考えると不思議である*1。 ネットでニュースをみていると、知人友人はとりあえずいないようだった。犯人が若い男だということがわかった。自分の知っている人は直接の被害を受けていないらしい、というやや短絡的な安堵感のあと、私はふっと古代エフェソスのアルテミス神殿のことを思った。そのときはまだ犯人に対してほとんど情報もなく、精神錯乱や薬物障害を疑ってもよいはずだったが、なぜかそのことが頭に浮かんだのだった。 古代エフェソスのアルテミス神殿は、世界の七不思議のひとつとい