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あとで読むと増田文学に関するlatteruのブックマーク (220)

  • 新婦以外全員偽物の結婚式

    むかし勤めていた、結婚式代理出席会社の最大の案件。 結婚相手に恵まれなかった女性のたっての依頼で、理想の結婚式披露宴を実現したいという。 そうはいっても相手がいない →新郎は代理出席で賄いたい →そうすると新郎側の出席者も必要だ、これも代理出席を頼もう →新婦役のリアルの知り合いや家族を呼んでウソをつくことはしたくない、かといって、事情をを知り合いや家族に知られるのはもっとイヤ →新婦側も代理出席で。 というわけで、代理出席会社から、新郎、両家の家族・友人・同僚・上司すべてが代理出席。 新婦以外全員偽物の結婚式披露宴が行われたのだった。 出席者はさすがに全員プロである。 学生時代の思い出話をまじえた友人スピーチ、退屈だが愛のある来賓の言葉、両親への感謝の手紙、と全てが滞りなく行われた。 式場側には、事情を知らせていなかったようだが、きっと、式場スタッフは、物の結婚式披露宴だと勘違い

    新婦以外全員偽物の結婚式
  • 奇跡が起きるのは思っているより多いのかもしれないという話

    俺は海沿いの街で暮らしていて、二日に一度くらいの割合で仕事が終わってから浜辺に焚き火台を出して一人で何時間も火を焚いているという、あんまり頭の良くない趣味を持っている。 職場から家に帰ってきて焚き火台と薪を持って浜まで行くと、始められるのがおおよそ19時過ぎで、何回もやっているくせに木が炭になる時間の感覚がいまいちつかめないのもあって、「俺はいま焚き火をやってるな」と実感できる数の薪を燃やしていると綺麗に燃え尽きるのが21時半ぐらい、それからようやく夕飯をべ始めるのでやっぱり馬鹿なんだと思う。 季節で日が落ちるのが遅いけれども、灯りのあまりない海岸なので、20時を過ぎるとかなり暗くなる。自動車が道路を行き交う音と海鳴りが聴こえる闇の中にいるのは俺だけ…では意外となくて、砂浜に降りてくる道のコンクリートで舗装された突端に、よく誰かが二人で座っていたりする。 それは必ずしも決まった人たちでは

    奇跡が起きるのは思っているより多いのかもしれないという話
  • 後ろ回し蹴りを覚えて人生が楽になった

    俺は仕事が出来ない。 ガキの頃から頭も悪いし、物覚えも悪いし、要領も悪い。こういう特性と付き合っていると、「なんとかしなければ」という克己心よりも先に諦念が芽生えてくる。横一列でスタートしたはずが、大体自分がビリになる。こういう事が続くと、俺はきっと何をしても駄目だと感じるのだ。努力する気が失われる。 そんなこんなで社会人になってしまった。そして案の定、仕事が出来ない。なので俺は後ろ回し蹴りの練習をすることにした。 通りすがりの人の顔面に飛び膝蹴りをする妄想をしていたが、後ろ回し蹴りで顔面を弾き飛ばす妄想の方が気持ちが良かったのが理由の一つだ。 長座体前屈で骨盤を立てて座ることが出来ないぐらい体が硬くなっていたので、毎日少しずつ柔軟をして言った。膝裏や股関節に激痛を感じたが、仕事で散々叱られ怒鳴られ、上司や先輩の呆れた顔、同僚や後輩の嘲笑を帯た目を思い出すと、苦しさと怒りと悲しさと悔しさで

    後ろ回し蹴りを覚えて人生が楽になった
  • 原宿駅

    ある日の暮方の事である。一人の少年が、原宿駅の跡地で雨やみを待っていた。朽ちた柱に蔦の絡みついた、いまにも崩れ落ちそうな原宿駅跡地は、その昔、若人が大勢集う、たいそう賑やかな駅であったという。かつてこの地は「原宿」と呼ばれており、商いで栄えていたそうな。今は広大な荒れ地が広がり、かつての栄華は見る影もない。少年は荒野の真ん中でただ一人きりであった。ただ、所々地面から、かつてのビル群の瓦礫が顔を出している。少年は雨が止むまで、その瓦礫を見詰めて暇を潰すことにした。あれは、セシルマクビー、ピンクラテ、そして…Q-pot CAFE。少年は歴史がたいそう得意であった。 何故原宿がここまで荒れ果てたかと云うと、七十年ほど前、東京には、疫病とか五輪とか不況とか云う災がつづいて起った。そこで人々は住まいをこぞって京都に移し、それに続いて都も移された。およそ二百五十年ぶりの遷都であった。人の消えた東京のさ

    原宿駅
  • ビルメンになった

    題名の通り、前の会社を辞めてビルメンになったのは一昨年の夏ごろ。 率直な感想は人生を半分ドロップアウトした感じ。 勤務は3日に1回。月10日勤務で給料は手取りでほぼ20万、ボーナスもなければ昇給もない。あるのは時間だけ。 ちょっと館内を巡回してあとはテレビ見ながら寝転んで目を閉じる。朝になったら日勤と交代。昼にパチンコ屋にいって夜にビールを飲む。明日は休みだし出かけようという気には一切ならずほろ酔い気分で布団に入る。 どうせ明日やることは嫌儲スレとスマホのゲーム、あとはパチンコくらい。その次の日の夕方から仕事だ。その繰り返し。 結婚もしていないし彼女もいたことがない。そもそも直近で母親以外の女性としゃべったのが何か月前か思い出せない。貯金はなぜか前職より貯まっていくけれど使う気がおきず、生活費以外は積み立てに回しているだけ。このままおじいさんになって病気を患い死んでいくんだろう。 自分でい

    ビルメンになった
  • 恩師の下着に感謝

    中学時代、下着の校則違反を数えて、体育祭の得点から減点するという「伝統」があった。 当時は管理教育の全盛期。 下着だけでも色・形状などが細かく校則で指定されていた。 悪質なのは、それを生徒同士で監視するシステムになっていたこと。 違反者は教師にチクられ、その分がのちに体育祭の持ち点から減点されるという決まりなのだ。 赤組・白組それぞれの減点数は日々校内で告知され、連帯責任を煽る構造ができあがっていた。 もちろん、これに反抗する生徒は多かった。 二年生のあるとき、体育祭の出し物を決める学級会のなかで、この制度はおかしいという話になったことがある。 「生徒だけ監視されるなんて、不公平です!」 立ち上がって先生に抗議したのは、ボス格の女子だった。 やがて「そうだ、そうだ」という声が教室のあちこちから起こる。 私たちの担任はといえば、まだ若い女性教師だった。 いま思えば、先生自身もこの制度はおかし

    恩師の下着に感謝
  • 誕生日に彼女が元高級ソープ嬢だと泣きながらカミングアウトしてきた話

    標題の通りである。その日は私の誕生日であった。お祝いを兼ねてご馳走してくれるというので、一緒に焼肉店に行った。昼間から酒を飲んだ。 私は私の実家という場所をどれだけ憎んでいるかについて彼女に熱弁した。自ら進んでそうしたわけではない。彼女は「親は大切にしろ。なぜなら親だから」という全く論理性のない言説を突きつけてくる時があり、その日もそれを突きつけられたので、反論やむなしという形であった。私は私の両親が金銭面では何不自由なく育ててくれたが、実家というブラックボックスの中で行われていた虐待に相当するであろう具体的事例を次々に並べた。 過去にもそんなことを何度か繰り返していた。私がいつもたどり着く極めて頑固な結論「両親には二度と会わない」を聞いて彼女が泣き出すこともあった。なぜ彼女が泣くのか私には理解ができなかった。 私の熱弁が一段落したかしないか、ふと、彼女の様子が変わったように思えた。今まで

    誕生日に彼女が元高級ソープ嬢だと泣きながらカミングアウトしてきた話
  • もし死んだら幽霊になって世界各地を訪問したい 幽霊なんだから飛行機にも..

    もし死んだら幽霊になって世界各地を訪問したい 幽霊なんだから飛行機にも乗り放題だし現地の治安が悪くても命の危険があってもなんら問題ない お腹も空かないしお金の心配もないから適当に好きなホテルの演技の悪い部屋で一日過ごせばいいもんね 立ち入り禁止エリアも幽霊には関係ないからエリア51の内部とかピラミッドの頂上で日光浴とか好き放題できる サハラ砂漠を飲まずわずで徒歩横断もできちゃうし超軽装でエベレスト登頂も多分できる 当に幽霊がいるなら死んだ後の方が色々忙しい日々になっちゃうな

    もし死んだら幽霊になって世界各地を訪問したい 幽霊なんだから飛行機にも..
  • 車を止めてはいけない駐車場を修理した話

    私は昔、機械式駐車場の建設、整備を行う仕事をしていました。 マンション等に住んでいる方なら実際に使ったことがあるんじゃないでしょうか。 ボタンを長押ししたり、自分の車が止めてある番号を選択して呼び出すタイプの駐車場です。 平置きとは違いスペースが無くとも複数の車を止めることが出来るので都市部などではよく見られるかと思います。 地方、特に田舎だとほぼ無いでしょう。駐車場の土地が確保できないなんて事は希ですし余程のことが無いと建てないと思います。 だからこそ、あの村で見たボロボロの装置は私にとって不気味で仕方ありませんでした。 数年前の夏、暑さもピークを迎え汗が吹き出るようになった時期に、知らないアドレスから仕事の依頼が届きました。 元請けからではなく利用者の方からの直接の依頼は珍しかったので興味位で詳細を伺うことに。 私は主に関東エリアで仕事をしているのですが、今回の物件は東北地方の某所に

    車を止めてはいけない駐車場を修理した話
  • 桃太郎なのに、とっても Apple

    こんな桃、見たことない。 川上に目をやれば、どんぶらこ。 洗濯をしていたおばあさんが見つけたのは、世界でいちばん大きな、桃でした。 このような桃は、わたしたちも見たことがありません。もちろんおばあさんも、見たことがありませんでした。山に柴刈りに行っていたおじいさんも、見たことがなかったはずです。流れてきたのは、当に大きな桃だったのです。 Hello, Momotaro. 家に持ち帰って割ってみれば、中にはなんと、玉のような赤ん坊。 おじいさんもびっくり。おばあさんもびっくり。わたしたちまで、びっくり。 おじいさんもおばあさんも、最初はべるつもりで桃を切ろうとしたのです。でも、中から飛び出したのは、元気な男の赤ん坊でした。こどものいなかったおじいさんとおばあさんは、おおよろこび。桃から生まれた男の子は、桃太郎と名付けられました。 身長は4倍、パワーは最大300倍。 元気いっぱい、すくすく

    桃太郎なのに、とっても Apple
  • 喪女がプログラミングスクール行って彼女が出来た話など

    ※すみません長過ぎて削れちゃったので再編集版です。 プログラミングスクールは良くないって話が多いので、人それぞれだよねっていうのと、何もやらないよりは何かしらあるんじゃないかなっていうお話です。 フィクションのつもりで聞いてください。 私は地方で育ち、地元の女子中・女子高・駅弁大学を卒業し、地元のとあるテーマパークに就職しました。 比較的なんとなく生きてきたので、仕事って大変そうだからせめて面白そうな職場を選ぼう、くらいの気持ちでしたがすぐに辞めたくなりました。 toC接客、屋外での勤務、立ちっぱなし、友達と休みが合わない、覚える事が多い、職場が僻地、ダンサーチームの揉め事の仲裁、契約社員組みからの嫉妬、大学生組の惚れた腫れた、田舎特有の異様なゲストの図々しさ・馴れ馴れしさ、どれも好きじゃないやつでした。 まあゲストにイラつく事があっても、それはしょうがないと思ってます。仕事だから。 でも

    喪女がプログラミングスクール行って彼女が出来た話など
  • あえぎ声を書くバイト

    大学時代、ひたすらあえぎ声を書くバイトをしていたことがある。 先輩から紹介してもらった、エロゲメーカーのバイトだ。 その会社のエロゲはストーリーに力を入れていて、所属するライターも自分の文章にプライドを持っている人ばかりだった。 彼らからすると、Hシーンのあえぎ声を書くなどというのは苦痛でしかなく、学生バイトにでも任せておけということになったらしい。 仕事がどういう感じだったかというと、 1. まず、「チャックを開けた」とか「腰を動かすスピードが速くなっていく」といったHシーンの「ト書き」部分だけを渡される。 2. ここに私が「んっ……」とか「あんっあんっ」といったあえぎ声をてきとうな塩梅で足していく。 3. シナリオライターのチェックを受けて終了。 という流れだった。 簡単に思えるかもしれないが、これが意外に難しい。 まず、Hシーンにはある程度の長さがあるので、その範囲内で的確に盛り上げ

    あえぎ声を書くバイト
  • いつも挨拶してくれたマクドナルドの店員さんが辞めたっぽい

    33歳=彼女いない歴 子供の頃からマクドナルドのポテトと雰囲気が好きで、大人になってからは好きな時に行けるぜと近所の店舗に通い続けた。最近はハンバーガーの種類も多く飽きまい。 マクドナルドの店員さんは基的に愛想が良いが、特に笑顔が素敵なスタッフの方がいた。俺より少し下ぐらいの女性で、とにかく受け答えの感じが良かった。 最初はそれぐらいの感じだったんだが、ある日注文の時に「お決まりでしたらお伺いします」ではなく「今日は何のセットにしますか?」とちょっとラフな感じで聞かれた。 よく店員に認知されたら行きづらくなる派がいて、俺もどっちかというとそうなんだけどこれは完全に惚れてまうやろだった。 そこからさらに「セットはポテトで良いですよね?」だ。微笑む感じが素敵すぎて惚れた。 その日からはマクドナルドに行く頻度が増えた。髪とかセットする様になった。 清潔感のあるファッションをネットで調べて白いシ

    いつも挨拶してくれたマクドナルドの店員さんが辞めたっぽい
  • あまりイキってないコンサルと一緒に仕事をしたときの話

    イキりまくってるコンサルにクソムカついたという話が出てたので、そのついでに自分の話もしてみたい。 今から数年前、自分の担当していた企業の業績が急激に悪化し、再建支援(これは表向きの理由、真の目的は債権保全)のため自分がそこへ出向することとなった。 年商数百億円規模の会社で銀行借入も百億円近くある企業なので、管理体制はそれなりに構築されているのだろう、そう思っていたのだが実際には酷い有り様であった。 社内の情報共有は全く成されていない、損益管理も決算を締めてみるまで分からない(月次で試算表は作っているが、進行基準ではなく完成基準なので全く参考にならない) 資金繰りの管理すら行われていない、「月末の不足分は銀行の当座借入枠で調整」という中小企業でよくある典型的パターンとなっていた。 「このままではとても自力再建など出来ない」と気づいた私は、危機感も能力も全くないプロパー社員を指導しながら、社内

    あまりイキってないコンサルと一緒に仕事をしたときの話
  • 夜食べたラーメンに涙が溢れてきた

    仕事も家族もいろいろと限界に近かった。 今日、家族が所用でいない。自分、一人だ。仕事から帰ってきて、適当に夕作って、チューハイの蓋を開けようと思った時に、そうだ飯ったらどっか行こうと思いついた。ストゼロをそのまま冷蔵庫に戻した。 飯べたら、着替えだけもって自転車でスーパー銭湯へ向かった。家族が車使っているので、クロスバイクしかない。 数年前にできたスーパー銭湯。入り口前で案内を見ると、岩盤浴プランだとリクライニングコーナーでゆっくりできるらしい。クーポンだと1,500円ぐらいなので、ちょっと贅沢してみることにした。岩盤浴は初めてだ。 風呂に軽く入って、館内着に着替えて岩盤浴コーナーへ。おっさん一人で浮かないだろうかと心配したが、老若男女、そして家族から一人からカップルから友達までと色々な人がいて、おっさん一人でも問題なさそうだ。 とりあえず眠いので、リクライニングで一時間ほど仮眠する

    夜食べたラーメンに涙が溢れてきた
  • 1年半ずっとATMとして働き続けたときの話

    こう書くとATM扱いされた夫の話だと思われるかもしれないがそうではない 読んで字のごとく、自分がATMの中の人として働いたときの話である 今から20年ほど前、某金融機関に入社した私は適当な集合研修を受けたのち、とある支店に配属された そこで私に割り当てられた仕事ATM担当である 今では多くの金融機関はATMの管理・現金装填を警備会社へアウトソーシングしている ただ当時はそういった雑務も全て職員の仕事であった 郊外の支店であれば比較的平和だったのかもしれないが、私の支店は繁華街のど真ん中にあり、周囲は飲み屋やパチンコ屋、場外馬券売り場などに囲まれていた そうなると客層は当然悪い 紙幣しか入らない投入口に硬貨を投入しATMを壊そうとするおっさん(口座残高が800円だったので200円入れて1000円にして引き出してパチンコに行きたかったらしい) 「UWF銀行に振込したいのに画面に出てこない

    1年半ずっとATMとして働き続けたときの話
  • 彼氏の顔が渋谷のハチ公前とかでよく見る感じで困る。

    趣味というか、クセというか。 電車に乗ったり、待ち合わせしているときはよくまわりにいる人のことを見ている。 こんな格好をしているということは今日はクラブでも行くのかな〜とか、 あんな顔をして電話をしているということは相手は嫌いな上司なんだろうなとか、 あの2人は今日初対面だな!ペアーズか!?とか。 表情からシチュエーションを想像したり、服装から行き先を妄想したりしている。 別に昔からずっとしているわけではなくて、 スマホばっかり見るのもよくないよねと思って、顔をあげるようになったのがきっかけだっと思う。 いちばんわかりやすいのは、やっぱり恋愛の表情だ。特に電話。 「あ〜!絶対相手は好きな子!はい!この顔カワイイ!」みたいな顔をしている子をみつけると、 こちらまでウフフと嬉しくなってしまう。 渋谷のハチ公前とかで待ち合わせしている子とかに結構いる。 そういう子達を見つけると、幸せをお裾分けさ

    彼氏の顔が渋谷のハチ公前とかでよく見る感じで困る。
  • 金沢駅のトイレで、e-maのど飴を握りしめたあの日のこと

    地に足がつかない、とはこのことかと思った。 2月の終わり、寒い日のことであった。大学受験の二次試験前期日程の試験を終えた私は、試験会場の大学からバスに乗り、金沢駅のバスロータリーに降り立っていた。バスから降りた時、アスファルトがぐにゃんと歪んだような気がして、最初上手く歩けなかった。地に足がつかない、とはこのことかと思った。 二次試験は、よく解けたという気もするし、ダメだったという気もした。要するに何も分からず、前者であったと自分に言い聞かせるしかなかった。金沢駅の東口をとぼとぼと歩く。前期試験が終わった。そのことへの安堵と、もうこれで受験勉強をしなくていいかもしれないという期待は確かにあって、背中に羽が生えたような気分だった。 しかし、まだ合否は出ていない。もう動かせない結果は、どちらに転ぶか分からないのである。まだ何者にもなれていない、宙ぶらりんの状態は何とも居心地が悪かった。 バスか

    金沢駅のトイレで、e-maのど飴を握りしめたあの日のこと
  • 緊急事態宣言下のカツカレー

    週に何度かの出勤日を終え帰宅する途中、ふと駅前のとんかつ屋の張り紙が目についた 「夜限定カツカレー 1200円 豚汁おしんこ付き」 夜限定?このご時世で8時までしか営業できないことと関係あるのだろうか?でもとんかつ屋がカツカレーにしたって客の滞在時間は変わらないよな。等と思いながらも限定の二文字ととんかつ屋のカレーがどんなものか気になり来店 過去に一度来た事があるが相変わらず古く、ボロくもあるが老舗の空気も漂わせるいい雰囲気、カウンターキッチンとテーブル席が3つほどの小さな店だ。 こんな時期だからか一人客なのに四人掛けのテーブル席に通される。他の客は二名。一人は奥のテーブルで二目のビールをあけている。たった一人で瓶ビール二。そこらの飲み会で騒ぐためにビールを飲み、ビールしかアルコールを知らないオッサンどもとは違う、正真正銘にビールが好きなオッサンなんだろう。もう一人はちょうどカツカレー

    緊急事態宣言下のカツカレー
  • 父がやってた訳の分からない会社を継いで大失敗した

    親がやってるワケわかんない会社を継ぐという話がホッテントリ入りしてて「まんまウチと同じだな」と思ったので書いてみることにした。 うちの父は自宅の一室を事務所として使っていて、社員は父親一人。電話で注文を受けて、同じように注文を出すという只の取次業務を延々とやるだけ。 自分が小さい頃は別に不思議には思わなかったけど、高校生くらいのときは「何か非合法なものを取り扱っているんじゃないの?」と不審に思ったりしたこともあった。 自分は父の跡を継ぐつもりは全くなかったし、父の側にも継がせる気は無かった(多分)。 しかし残念なことに氷河期真っ只中で大学を卒業した自分は全く就職先が決まらず、実家に戻り父の仕事を手伝うことになった。 そしてそこで漸く父の仕事の全容が判明した。 自分の地元は魚の養殖(タイとかハマチとか最近ではマグロとかいろいろ)が盛んで、父は養殖業者向けに養殖用のエサの卸売をしていたのだった

    父がやってた訳の分からない会社を継いで大失敗した