「このとき、自分の描いた漫画が初めて3冊売れたんです。とてもうれしかった。でも実はそのうち2冊は友人が買ってくれたんですが…」と笑った。 その後も同人誌を描き続け、発表の場は、小さな即売会から、大会場のコミックマーケットへとステップアップしていく。 「高校時代はコミックマーケットで700冊売れたこともあるんですよ」と語るように、同人誌界の人気作家となっていく。 ■無謀な進路変更 同人誌の活動を続ける一方で、本格的に絵画を学ぶため、武蔵野美術大へと進学する。だが、この美大進学を果たすまでには悲壮な覚悟があった。 「最初は漫画の専門学校に進む予定でした」と言うが、「漫画だけでなく、若いうちに、もっと視野を広げておくべきではないか」と悩み、高3のときに急遽(きゅうきょ)、美大進学へと進路変更したという。 美大進学希望者は、受験のためにデッサンなどを修得している必要があるが、「私はそれまでまったく