1993年、フランスの首都パリから南へおよそ400キロ、スイス国境に近いプレヴサン市。その静かな住宅地で事件は起きた。明け方4時、炎に包まれたのはジャン・クロード・ロマン一家だった。夫のジャン・クロード。そして妻のフロランス。7歳の娘、キャロリーヌと、5歳の息子アントワーヌが中にいた。幸せが一瞬にして奪われたのだ。1時間後火はおさまったが、そこには最悪な事態が待っていた。 焼け跡から運び出されたのは2人の子供たちの遺体。そして妻、フロランスの遺体だった。 そんな中、夫、ジャン・クロードだけが奇跡的に助かった。 そして事件が想像を絶する展開を見せていく。 夫ジャン・クロードはWHO世界保健機関に勤務するエリート医師。 毎朝。車でフランスの国境を越え、スイスへ通っていた。WHOの本部ビルはスイスのジュネーブにある。WHO、世界保健機関は、地球規模で人類の健康を管理する国連の専門機関。