この本の「はじめに」では、25年以上前、著者がスタンフォード大学にいたときに佐藤誠三郎氏から「政治は科学ですか」と聞かれたエピソードが紹介されています。 佐藤氏の言葉には「政治は科学であるわけない」という響きが込められていたそうですが、それに対する時を越えた応答がこの本のタイトルには込められています。 前半は安倍政権の支持率の動きなど、近年の日本の政治に対する意識を世論調査の分析やサーベイ実験などによって解き明かそうとする「科学的」なものですが、後半では「科学的」に取り扱うのは難しい「価値」の領域の話にも踏み込んでおり、政治学によるさまざまな切り口を見せてくれる非常に興味深い内容になっていると思います。 目次は以下の通り。 1 もう一つの安倍政権論 第一章 なぜ安倍内閣の支持率は復活するのか 第二章 新しい安保法制は何を後世に残したのか 第三章 何が憲法改正を躊躇させるのか 2 実験が解明