20カ国・地域(G20)首脳会談冒頭で笑顔を見せる(左から)トランプ米大統領、安倍晋三首相(いずれも当時)、インドのモディ首相=2019年6月、大阪市住之江区(代表撮影)安倍晋三元首相による外交の最大の功績の一つが2016年に提唱した「自由で開かれたインド太平洋」であることは言うまでもない。中国を念頭に一方的な現状変更を否定し、インド太平洋地域の平和と安定を目指す構想の重要性は高い。民主主義国の共通理念として広範な支持を得ている。 安倍氏が構想の一端を披露したのは第1次政権時代の07年8月にさかのぼる。インド国会での「2つの海の交わり」と題した演説で、太平洋とインド洋という2つの海を一体として見ることの戦略的な重要性を説いた。2つの海に面する日印の連携は「米国やオーストラリアを巻き込み太平洋全域にまで及ぶ広大なネットワークへと成長する」と強調した。この発想は日米豪印の協力枠組み「クアッド」
