東日本大震災でつらい思いをしている人々に、私たちはどのように接すればいいのか。また、何ができるのか。1995年の阪神大震災の際、被災者の心のケアに当たった精神科医の中井久夫さん(77)に話を聞いた。【手塚さや香】 ◇無力さ感じずに、今は力蓄える時 かつてない地震と津波の被害に直面し、多くの人は被災した人たちにかける言葉を失っているかもしれない。「おかわいそうに」といった言い方は、言われた方はみじめに感じ、自尊心が損なわれる。自尊心は病気の治療においても災害時においても、絶対に必要で大事にしなくてはならないものだ。 「がんばれ」と言うのも、どうだろう。「がんばれ」は英語で「Do your best」と訳されたりするが、言われた方は「今もベストを尽くしているのに」と感じないだろうか。「幸運をお祈りします」といったニュアンスを感じる「Good Luck」という言葉が一番いいかもしれない。それをど