柴田三千雄『フランス革命』(岩波現代文庫)は、もともと1989年に発表された『フランス革命』(岩波セミナーブックス)に、補論として「フランス革命と明治変革――比較史の枠組み」(2004年)*1を併せて収録したもので、いろいろ刺激や啓発を受ける本だった。私はこれまでマルクスの『フランスにおける階級闘争』や『ルイ・ボナパルトのブリュメール一八日』のようなジャーナリスティックで且つ原理的な洞察に満ちた著作を折りに触れて読み返しては驚嘆と憧れの念を抱いていたのだが、おそらくマルクスはフランス革命の構成要因やプロセスを徹底的に分析し、革命運動の弁証法的な反転や飛躍といった契機に通暁していたのではないか、というようなことを考えた。 主論の『フランス革命』は、1988年に行われた「岩波市民セミナー」を基にした講義風の文章で、それまでのフランス革命史研究の流れを紹介しながら、革命の構成要因やプロセスを素人