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ブックマーク / daen.hatenablog.jp (5)

  • 無政府状態から契約の束として政府が誕生する瞬間――高野秀行「謎の独立国家ソマリランド」 - 誰が得するんだよこの書評

    最高に面白い、の一言に尽きる。笑って読める「未開の地見聞録」でありながら、政治学の文献としても読める。なぜソマリアでは内戦が続いているのか、そしてソマリア北部・ソマリランド内では、なぜ内戦が終結して武装解除ができたのか、しかも国連やアメリカの介入を拒絶したのになぜ民主制に移行できたのか、などの重要なテーマについて、現地での取材を基にした日で唯一の文献なのである。しかも、他国からの介入がなかったから民主制に移行できたのではないか、という興味深い視点も提供している(詳しくは後述)。 さて、書によれば、基的に、ソマリアでは民族同士の紛争はないのだという。あるのは、同じ民族の中の氏族同士の争いなのだ。それは、日でもあった源氏VS平氏の争いみたいなものである。そして、民族VS民族の争いではないせいか、一方が一方を滅ぼしつくすまで戦う、ということにはならず、そのうち手打ちすることで、紛争はいっ

    無政府状態から契約の束として政府が誕生する瞬間――高野秀行「謎の独立国家ソマリランド」 - 誰が得するんだよこの書評
  • 君の頭は19世紀だね - 誰が得するんだよこの書評

    などと冗談で友人に言ったことがある。ニーチェの価値相対主義について議論している際に、彼は「相対主義的に考えることってそんな必要なのか? 政治ゲームの勝者があまり幸福そうに見えない」とニーチェを批判するのだ。価値が相対的なものにすぎないとしたら、自分の人生の指針となるものは個人的な幸福や快感だけになってしまう。そうした快楽を得られる状態にずっとあるのなら問題はないが、快楽が欠乏すると、とたんに人生が意味を失ってしまう。無意味な人生を虚無的にさまようことはなかなか大変なので、「もう自分はこれでいいや!」と割り切ってなんらかの価値に奉じるほうがまだマシだ。相対主義なにそれ?で別にいいよ、おれにはおれの物語があるし、というわけなのである。 これを20世紀から19世紀への後退と見てあざ笑うことは簡単だけど、まあ思想的に19世紀だからといってなにか問題があるわけでもないし、実際に僕はかなり共感した。

    君の頭は19世紀だね - 誰が得するんだよこの書評
  • 森村進教授の講演会 〈 これからの「家族」の話をしよう 〉 がすごい件 part1 - 誰が得するんだよこの書評

    2010年11月23日の駒場祭での森村進教授の講演の書き起こしです。非常に面白いですよ、これは。 東京大学法律相談所主催で行われた家族法改正講演会「これからの「家族」の話をしよう」では、夫婦別姓・同性婚などについて、大村敦志先生(東京大学大学院法学政治学研究科教授)、棚村政行先生(早稲田大学大学院法務研究科教授)、千葉景子先生(元法務大臣)、森村進先生(一橋大学大学院法学研究科教授)といった方が討論されました。以下、書き起こし文になります。 イントロダクション 紹介いただきました、一橋大で法哲学を教えている森村進です。今日のスピーカーの中では、私ひとり、家族法についてそれほど専門的に研究したわけではないのですけれども、それにもかかわらず、ここにお招きいただいたのは光栄に思っております。 私がなぜ招かれたかというと、私が法哲学者として、この問題についてかなり極端な事を言っておりまして、そう

    lotus3000
    lotus3000 2011/06/28
  • 2円で刑務所、5億で執行猶予 / 浜井浩一 - 誰が得するんだよこの書評

    刑法・刑事訴訟法について学ぶ人は読んで損はないです。刑事政策の専門家が、治安にまつわる神話をデータに基づいて検証した。まず「少年犯罪は減っており、むしろ高齢者の犯罪が増えている」のが意外でした。万引きについては1980年代には50%が少年、10%が高齢者でしたが、2006年には30%が高齢者になり少年を上回ります。また刑務所に入る人の大半が「悪い人」というよりも「経済力を失い、社会的に孤立した人」という実態があります。中高齢者の犯罪は年々増加している今、刑務所が身寄りのない老人のセイフティーネットとして機能している状態です。つまり監獄が一種のベーシック・インカム(BI)になっています。 個人的にBIには、公務員契約としての性質があると思っています。三・寝る場所という最低限の生活を報酬として与える代わりに、犯罪を起こさないという労務を課す、公務員契約です。そうすると、BI導入は国土の全体

    lotus3000
    lotus3000 2010/12/11
    ベーシックインカムの負の側面。これをどうするかが、問われる。一歩間違えれば、「素晴らしき新世界」へ近づく。
  • 他者承認を通貨としてあつかう非モテ - 誰が得するんだよこの書評

    とにかく他者から自分の存在を肯定されたい! という人生は、なんだか息苦しいのではないかと最近感じる。いや、もちろん自分も他者承認に飢えていることはたしかだし、その必要性をないがしろにしたいわけではない。マズローによれば、他者からの愛情・尊敬は人間の基的欲求だからこれが足りないとメンヘラ一直線でたいそう困ったことになる。だから、まあ、他者承認への欲求自体はもう能みたいなもので、善い悪いを別として認めるしかないよねって感じだ。僕が興味深く思うのは、いわゆる非モテ(他者承認に不自由な人)が、承認してくれそうな他者がいるにもかかわらず、なんかよくわからない理由で、それを拒んでしまう現象だ。 非モテの求めるもの 非モテは、仕事面で成功してモテるようになってもなんだか楽しくなさそうなのである。 ただ、いまこうプチモテ期を迎えると、暗黒面が顔を出す。 あの頃相手にしてくれなかったくせに!っと今俺に近

    他者承認を通貨としてあつかう非モテ - 誰が得するんだよこの書評
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