新型コロナウイルスのワクチン開発で出遅れた理由は日本が内向きだったからだ。安全に万全を期す姿勢は正しい。だが、それのみを追求していては革新の芽は育つまい。何が必要なのかを見極め、世界に目を向けなければ、創薬国日本の力を発揮できない。 首相官邸で開いた健康・医療戦略推進本部の会合。このあとに閣議決定することになる「ワクチン開発・生産体制強化戦略」について関係閣僚の議論を受けた発言だ。欧米に比べてワクチンの導入が遅れ、コロナ禍からなかなか抜け出せない現状を率直に認め、「次のパンデミック」に備える考えを示したものと受け止められた。 政府のワクチンへの対応に不満ばかりを漏らしていた業界からも一定の評価が聞こえてくる。日本でコロナワクチン開発を進めるスタートアップ、アンジェス創業者の森下竜一・大阪大学寄付講座教授は、「国家安全保障の立場で国のワクチン戦略が明確になったのは画期的」と評した。塩野義製薬
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