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ブックマーク / blog.tinect.jp (70)

  • 生涯で一番重要なアニメをひとつ挙げろ、と言われたら『新世紀エヴァンゲリオン』を挙げるしかない。

    生涯で一番重要なアニメをひとつ挙げろ、と言われたら『新世紀エヴァンゲリオン』を挙げるしかない。 私が精神科医になった動機の約20%は、この作品に感化されたせいだ。感化され過ぎたせいで、「『新世紀エヴァンゲリオン』についてレビューをまとめなさい」と言われたら今でもまとめる自信がない。 しかし、『新世紀エヴァンゲリオン』に含まれていた心理学っぽさや精神分析っぽさを振り返ることはできる。 同作品は90年代の心理学ブームやメンタルクリニックブームを踏まえていて、同時代性が強い。だから『新世紀エヴァンゲリオン』を振り返ると、当時のそうした目線を思い出すことにもなる。 90年代は「モノより心」の時代 はじめに、90年代のメンタルヘルスを巡る雰囲気について思い出してみよう。 80年代から引き続いて、90年代は精神医療語り・心理学語りがとても流行っていた。「日人は物質的には豊かになったが、心はまだまだ貧

    生涯で一番重要なアニメをひとつ挙げろ、と言われたら『新世紀エヴァンゲリオン』を挙げるしかない。
  • おれたち日本人には「信仰」がわかるのだろうか?

    リチャード・ドーキンスをひさびさに リチャード・ドーキンスといえば『利己的な遺伝子』で一世を風靡した学者である。そのドーキンスが無神論のを著したことはなんとなくしっていた。しっていたが、とくに読んでいなかった。読んでいなかったが、ふと目に止まったので読んでみた。 とくに宗教に関しては、もはや時代は変わったのではないか。十分な知識を持つ人が、世間一般の考えは誤りであり有害であるとの結論に熟考のうえでいたった場合、それを広く知らしめることは、いまや義務とみなされているように思う。少なくとも世人が耳を傾けるような地位や名声を得ている人には、それが求められている。 こうした人が宗教を信じていないと公言すれば、「不信心」(じつに不当な呼び名である)は低い知性やよからぬ性分に由来するという世に流布した偏見は、たちどころに根絶やしにされるだろう。世間の評価も高く、名士と言われるような人たちのどれほど多

    おれたち日本人には「信仰」がわかるのだろうか?
    lucienne_rin
    lucienne_rin 2024/07/03
    我々は人権という宗教を信仰しているじゃないですか
  • 手取り19万円の栄光の終わりに

    舵のない舟 かくて早くも彼の心は、洗練された隠遁の地、心地よき無人の境、人間的愚かさの絶えざる氾濫を遠く逃れた、びくとも動かぬ、なまぬるい方舟を夢みつつあった。 ユイスマンス『さかしま』 さかしま (河出文庫) 思えばおれの人生というのは舵のない舟に乗って川を流れてきただけだ。みすぼらしい帆や、壊れかけのエンジンはついていたかもしれない。ただ、流れてくるように、流れてきた。 おれは人生に興味がなかった。正確にいえばおれはおれの人生に興味がなかった。明日、どうしよう。五年後、どうしよう。大人になったら、どうしよう。なに一つ向き合ってこなかった。 親だとか誰かだとかにいわれるがままに、適当に流れてきた。意思というものがなかった。 べつに親だとか誰かだとかを信じていていたとか、そんな話もない。自分は確固たる意思をもって、意思を持たずに生きてきた。 人生の岐路に立って自分で道を選んだという覚えもな

    手取り19万円の栄光の終わりに
  • 「子育てと仕事の両立はしんどい」VS「子持ち様は迷惑」

    子育てと仕事の両立。 いまや多くの企業の悩みの種であり、子育て世代の最大の関心ごとであるこのトピック。 どうにか両立を可能にしようとリモートワークや時短ワークの導入、男性の育児休暇推進などをしてはいるものの、「しんどい」という声はなくならない。そればかりか、どんどん大きくなっている気さえする。 もうみんな、うすうす気づいてるんじゃないだろうか。 子育てと仕事の両立が、そもそも不可能だということに。 「がちゃんと働けば2億円得をする」が炎上 『羽鳥慎一モーニングショー』が「の働き方で世帯の生涯収入 最大 ”2億円の差” 都が試算」と報じ、炎上した。 そもそも年収を600万円で計算しているあたり現実味のない試算なわけだが、「扶養内に収めるためにが『働き控え』をしても、夫が受けられる優遇は計670万円しかない」という委員会の主張に対し、「働き控えってなに? ケンカ売ってんの? 働きたく

    「子育てと仕事の両立はしんどい」VS「子持ち様は迷惑」
  • 安楽死が合法化されたら日本は姥捨て山になる

    安楽死が合法の国で起こっていること』というをご存じだろうか。 安楽死が合法の国で起こっていること (ちくま新書) 筆者の児玉真美さんは障害者やその家族の立場に立って活動しているベテランの著述家だ。その著者が、安楽死の議論と実践が進んでいるオランダやカナダなどの現状を伝え、議論のたたき台としてまとめたのが書、ということになる。 安楽死・尊厳死・自殺幇助といったまぎらわしい語彙を理解するにも向いているだろう。 いわゆる人権先進国で安楽死が急増している 人の生死を扱う書籍だけに、『安楽死が合法の国で起こっていること』にはドキドキする話題やセンシティブな議論が多い。なかでも強い印象を受けたのは、カナダやベルギーやオランダやスイスで安楽死が合法化され、しかも急速に広がっているという話題だった。 たとえばカナダでは2016年に安楽死が合法化されたが、少なくとも当初、その条件は慎重に設定されていた

    安楽死が合法化されたら日本は姥捨て山になる
  • では、家畜にすらなれない人間は? 熊代亨『人間はどこまで家畜か』を読む

    『人間はどこまで家畜か』をお送りいただく シロクマ先生……熊代亨氏、早川書房さまより『人間はどこまで家畜か:現代人の精神構造』を恵贈いただきました。消費者庁のガイドラインに沿って書きました。なのでこの記事はステマではないです。あとはなに書いてもいいんだよな? おれと進化心理学 して、このをお送りいただくにあたって、シロクマ先生より、「こいつはこのへんのことに興味がありそうだ」とお考えになられたようです。 たしかに、おれは以前、進化心理学のを何冊か読んだ。読んで、その感想を自分のブログに書いたこともあった。 進化心理学……、人間の心理というものもダーウィンの自然選択によって進化してきたものだという考え方だ。理にかなっていると思った。 そんな中で見かけたのが「楽園追放仮説」だった。 まさに『進化心理学入門』というで紹介されていた。その仮説を唱えたと紹介されていたのは、連続爆弾魔「ユナボマ

    では、家畜にすらなれない人間は? 熊代亨『人間はどこまで家畜か』を読む
  • あんなにも感動し、興奮したものが、惰性になってしまった。これは悲しい。 | Books&Apps

    おれの生活 おれは毎晩の事をXにポストするタイプの人間である。Twitterにツイートしてきた人間だといってもいい。 おれには3,600人ほどフォロワーがいるが、毎日おれを観察している人間がいるだろうか?たぶん10人くらいいると思う。その10人は気づいていることと思うが、おれは毎晩ほとんど同じものをべつづける。 貧乏だから野菜がえないとかいうのは毎晩お好み焼きべないやつの戯言にすぎない/関内関外日記 古くは、お好み焼きだった。一家離散して一人暮らしをはじめた。 金がないので自炊する。はじめての自炊生活。なにをべよう。おれはお好み焼きが好きだった。お好み焼きはどうだろう? お好み焼きなら小麦も卵もキャベツも肉もとれるし、栄養的にも悪くないんじゃないのか。なにより、おれはお好み焼きが好きだ。 でも、毎日べると飽きるんじゃないのか? これが、飽きなかった。おれは来る日も来る日もお

    あんなにも感動し、興奮したものが、惰性になってしまった。これは悲しい。 | Books&Apps
  • 不安になったら薬を飲め

    ずっと不安だった おれが自分の性格というものを説明しようとすると、以下のような言葉が並ぶ。内向的、心配性、後ろ向き、弱気、消極的、意志薄弱、怠惰、マイナス思考、ネガティヴ思考、悲観主義……。 陰キャで、非リアで、なんの前向きさもない人間ということになる。 今の時代、いや、いつの時代でも人間に求められる資質に反していることこの上ない。そして、その通りおれは底辺に近い人生を送っている。 それにしても、なんで、こうなんだろう。というか、世の中の人で、こうでない人がいるのはなぜなんだろう。少なくとも、こう見えない人は存在する。 おれは双極性障害(躁うつ病)持ちである。これはおれの性格の前提なのだろうと思われるかもしれない。 しかし、おれがそう診断されるずっと前、それこそ、物心ついたころから、おれは常にそうだった。 そして、常に不安だった。 幼少期の無力感 おれはちびだった。いや、いまも平均身長から

    不安になったら薬を飲め
  • もしも「ゲーム障害」が本当にあったら

    もしも「ゲーム脳」が当にあったら おれはゲーム、ビデオゲーム(以下、ゲームとします)に人生のかなり多くの時間を費やしてきた人間だ。そのことは前に書いた。 おれは平均的な人よりたくさんゲームに時間を費やした。いや、二十代、三十代とプレイする時間が減ってしまって、いまではほとんどやっていないので、「二十代になるまで」と言ったほうが正確だろう。 そんなおれが、自分のブログに「想像してみよう、もしもゲーム脳が当だったら」という記事を書いたことがある。 2008年のことだ。今から15年も前のことだ。ずいぶん前だ。 ん? ひょっとして、今の人たちは「ゲーム脳」という言葉を知らないかもしれない。そのあたりはWikipediaでも読んでほしい。 ようするに、ゲームをすると脳に異常が起きて、「キレる若者」などが生み出されているのだ、けしからん、という話である。『ゲーム脳の恐怖』というはたくさん売れた。

    もしも「ゲーム障害」が本当にあったら
  • 「子どもに触れさせたくないコンテンツ」について、親として考えること

    この記事で書きたいことは、以下のようなことです。 ・もちろん程度問題ではあるのだが、子どもは「親が見せたくないコンテンツ」をどうにかして摂取しつつ育つものであって、そこを制御しようとしても無駄 ・子どもの「観たい」「読みたい」「聴きたい」という欲求には基介入しないようにしている ・ただ、コンテンツそれ自体ではなく、コンテンツで描かれている行為や内容について、子どもに勧められて摂取した上で、気になる点があれば自分の感想として表明している ・そのためにも、子どもと「感想のチャンネル」を保持しておくことが大事な気がする ・子どもが楽しんでいるコンテンツを自分も楽しむことによって、今のところいい感じのチャンネルが保持出来ている気がする(もちろん、親が知らないところで摂取しているコンテンツもあると思うし、それにどうこう言うことはない) ・「批判はコンテンツの否定ではない」ということも伝えている ・

    「子どもに触れさせたくないコンテンツ」について、親として考えること
  • タスク処理のコツは「考える」を事前に済ませておくこと。

    この記事で書きたいことは下記のようなことです。 ・私が知っている中で一番「整理整頓」「片付け」が上手い人は、昔居候していたバーのマスターです ・マスターに「片付けのコツ」を聞いてみたところ、「頭と手を同時に動かそうとするな」と言われて、以下のようなことを教わりました ・片付けというのは要は「カテゴライズ」であって、単純化すると物品を分類するだけの行為 ・人間は複数のことを同時にやるのが苦手であって、「考えながら手を動かす」のは高いコストを要求される ・だから、「考えておけることは事前に考えておく」だけで片付けのハードルが下がる ・お前は片付けの時、手を動かしながら分類まで考えようとしているので全然片付けが出来ない、先に考えるべきことを考えろ ・その教えを後から思い出して、だいぶ(片付けに限らず)タスク処理が上手くなりましたので、片付けが苦手なひとはご参考まで 以上です。よろしくお願いします

    タスク処理のコツは「考える」を事前に済ませておくこと。
  • 人間が人間であることを出せ。表現しろ。それ以外は的確にプロンプトを書け。

    画像生成AIとおれ 知らないあいだに画像生成AIというものができて、ひとびとが使うようになって、いろいろな問題を引き起こしていた。 AIの学習に使われた人の著作権的な問題とか、AIを使ったイラストに対する道義的(?)な問題だ。後者についてはちょっとよくわからない過熱が見られるようなので、触れるのは避けたい。 いずれにせよ、文章(プロンプト)によって、絵が生成されるのだ。おれは、とりあえずおもしろいと思った。おもしろいな、というだけだ。 おれは自分で絵を描きたいと思うが、下手くそなので描く気がおこらない。AIを使えば自分の理想である✕✕な絵だって生成できるんじゃないかと思った。 が、プロンプトにもコツがある。いや、コツなんてものじゃない、プログラミング的な技術、技法だ。おれはそういう感覚的でないものは苦手だ。 というか、そもそもおれのPC画像生成AIを使うスペックに達していなかった。なので

    人間が人間であることを出せ。表現しろ。それ以外は的確にプロンプトを書け。
  • でかいペットボトルの焼酎を買う人間の末路

    おれと酒、酒とおれ おれは酒が好きだ。酒も俺のことが好きなんじゃないかな。 とはいえ、「酒」といってもいろいろある。大きく分けたら醸造酒と蒸留酒ということになるのか。大きく分けたらおれは蒸留酒のほうが好きだということになる。 おれが好きなのはウイスキーだ。ウイスキーがお好きでしょう。でも、さらに絞りたい。絞った先にあるのは、スコッチということになる。スコッチのなかの、シングルモルトということになる。 シングルモルトのなかでも、アイラモルトが好きだということになる。ラフロイグが好きだ、ボウモアが好きだ、なによりアードベッグが好きだということになる。どんな味がするのか。薬品臭とすら言われる独特の香りがある。そして、酔いがたまらん。 「酔い」に違いがあるのか。味や、匂いではなく。 おれは「ある」と答えたい。質の良いスコッチのもたらす酔いは別格だ。一瞬で深く染み渡り、じつにいい気分になれる。そして

    でかいペットボトルの焼酎を買う人間の末路
  • 働かなくてよい世の中は来ない。だって皆さん、フリーライダー、お嫌いでしょう?

    テクノロジーが進歩し、人間の適職がもっと少なくなった時、私たちにとって「仕事」はどうなるんだろう?」 私は未来の仕事について考えるのが好きで、2019年にも、ベーシックインカムが普及した未来世界に思いを巡らせたことがあった。 ベーシックインカムはきっと面白い人の味方 -シロクマの屑籠 思うに、機械やAIが狭義の仕事を人間からとりあげて、高水準のベーシックインカムが実現した時、それが福音になる人間と疎外になってしまう人間がいるのではないだろうか 大半の人が仕事を奪われても、仕事をとおして社会的欲求 (承認欲求や所属欲求など) を充たすニーズはなくならない。だからベーシックインカムを受け取るだけの人が大半を占める社会でも、人々は活動をとおして社会的欲求や社会関係を求めようとするし、そのとき最も辛い思いをするのは仕事をとおしてしか社会的欲求を充たせない、かつ面白みのない人々ではないか……と想像

    働かなくてよい世の中は来ない。だって皆さん、フリーライダー、お嫌いでしょう?
  • chocoZAP(ちょこざっぷ)に行くのはどんな人なのか?

    chocoZAP(ちょこざっぷ)に行く人の話 chocoZAP(ちょこざっぷ)をご存知か。そうだ、コンビニジムとして急速に拡大しているサービスだ。 従来のジムとは違い(たぶん)、無人店舗にマシンだけ置いてある。勝手に入って、を履き替えもせず、勝手にやって、帰る。シャワーもない。トイレすらない店舗もある。 会員になればどの店舗も使える。これで月額2,980円だ。このコンビニジム、どんな人が行くのか? この記事にべつにインタビューや取材は必要ない。なぜならば、おれがちょこざっぷ(以下「ちょこざっぷ」に統一します)の会員だからだ。もちろん、おれ一人の話にすぎないが、参考になるかもしれない。 そのあとに、限られた範囲ではあるけどどんな人を見かけるのか書く。 おれの運動歴の話が長いので、店の雰囲気などだけを知りたい人は、画面をスクロールさせて<ちょこざっぷにはどのような人が行くのか>を読んでほしい

    chocoZAP(ちょこざっぷ)に行くのはどんな人なのか?
  • いっそのこと「くじ引き民主主義」なんて、どうなんだ?

    代議制民主主義のバグ なんかどうだ、日政治? ここんところどうかね? どうもなんかよくないよな。よくないところがあるんじゃないのか。 よいという人もいるだろうが、それはたとえば自分の支持する政党が政権与党にあるとかそういうことで、もうちょっと仕組みというか、構造というか、そういうところに問題あるような気はしないか。 おれはするのであって、とくによくないんじゃないかと思うのが「世襲」の問題だ。世襲政治家ばかりになっている。 ちょっとまえにこちらの記事を読んだ。 日には「世襲政治家」が多すぎる、ビジネス界からの転身が少ない根理由、これだ。 正直、ビジネス界というものから政治家への転身が望ましいのかどうかはわからない。わからないけれど、世襲よりましだよなって思うところはある。 まあそれはともかく、興味深いのは、現在与党である自民党が当選回数至上主義になっていて、当選回数が多い人間が党内で

    いっそのこと「くじ引き民主主義」なんて、どうなんだ?
  • https://blog.tinect.jp/?p=81989&s=09

  • なぜ生物は増え、人は悩むのか──『増えるものたちの生物学』と『風の谷のナウシカ』

    「人はなぜ、生きているのか?」 自分という存在を自覚するようになった頃に、一度は考えたことのある疑問ではないかと思う。 生きることには楽しいこと・気持ちの良いこともあるが、苦しいこと・辛いこともたくさんある。 最近ときどき耳にする「反出生主義」になぞらえて考えるなら、かならず苦しみが伴うのに私たちが生まれてくるのは良くないことで、生まれてこないほうがいいし、子孫など残さないほうがいい……となるかもしれない。 そして人間だけが苦しいわけでない。動物も昆虫も、生きとし生けるものが生きる限り、もがき、苦しむ。 欲しがっても得られない苦しみ、命を脅かされる苦しみ、そして老化や病気による苦しみや死に至る苦しみ。苦を悪とみなし、苦を回避することを善とみなす限りにおいて、人類絶滅や生物根絶をうたう人々の言い分には確かに一貫性がある。 私も私なりに「人はなぜ、生きているのか」について考え続けてきたが、今も

    なぜ生物は増え、人は悩むのか──『増えるものたちの生物学』と『風の谷のナウシカ』
  • さびれた地方に住む人々の心理的充足感を供給する「アニメやゲームのキャラ」と「日の丸」の話

    「個人の自尊心やアイデンティティなんて自分で選ぶもの。自分で勝ち取るものだ。」 そう思っている人は日のインターネット、たとえばこのbooks&appsの読者のかたにも大勢いらっしゃるのではないかと思う。 でもって自尊心やアイデンティティは、自分自身の経済的・文化的・社会的成功と結び付けられがちだ。 いちばんわかりやすい個人主義者とは、自分の意志や能力をとおしてサクセスし、自尊心やアイデンティティをも充足させられる、そんな人物ではないだろうか。 経済的成功も心理的充足も個人化したというが しかし、誰もがいちばんわかりやすい個人主義者のように生きているわけではない。 もし、明確にサクセスした個人しか自尊心やアイデンティティが充足できないとしたら、世の中は心理的充足に飢えた、がらんどうの個人だらけになってしまうだろう。 もちろんインターネットでは何事につけ極端な人間が目立つので、がらんどうの個

    さびれた地方に住む人々の心理的充足感を供給する「アニメやゲームのキャラ」と「日の丸」の話
  • 勝ち組にしか未来のない人生100年社会は、個人より社会が間違っているんじゃないの?

    「私たちはどう年を取るのが望ましいか?」 いつの時代にもこうした問いはあっただろうし、私もずっと問い続けている。 これからの世の中、どう年を取っていけばいいのかわかった気がしない。 そうしたなか、最近、気になるに出会った。それを紹介しながら、高度な資主義と高度な高齢化社会の組み合わせについて書いてみる。 100年時代の人生戦略を語った『ライフシフト』 まず、を紹介しよう。 今回出会ったはリンダ・グラットン/アンドリュー・スコットという二人のロンドンビジネススクール教授が著した『LIFE SHIFT 100年時代の人生戦略』というだ。 書はまず、従来までのエイジングを教育のステージ・仕事のステージ・引退のステージの3ステージ構成とみなし、それが時代遅れになっていると指摘する。 確かに。寿命が延びて就労期間も延びたのだから、若い頃に教育を受けたきり何も学ばなければ、働き口は狭くなり

    勝ち組にしか未来のない人生100年社会は、個人より社会が間違っているんじゃないの?