長期的に見た場合、日本にとって最大級の不透明要因は財政問題だろう。最近政府が示した2060年までの見通しでは、政府等債務残高のGDPに対する比率が現在の200%強から300%程度まで上昇する可能性が、シナリオの一つとして示された。財政破綻のリスクは殆どゼロに近いとしても、他国の事例のように、市場関係者の財政への見方が厳しくなり、金利や為替市場に影響が出る可能性は排除できない。長期視点では、こうした財政リスクの回避も念頭に置いた資産防衛が必要だろう。
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長期的に見た場合、日本にとって最大級の不透明要因は財政問題だろう。最近政府が示した2060年までの見通しでは、政府等債務残高のGDPに対する比率が現在の200%強から300%程度まで上昇する可能性が、シナリオの一つとして示された。財政破綻のリスクは殆どゼロに近いとしても、他国の事例のように、市場関係者の財政への見方が厳しくなり、金利や為替市場に影響が出る可能性は排除できない。長期視点では、こうした財政リスクの回避も念頭に置いた資産防衛が必要だろう。
ドル建ての金価格は23年4月13日につけた1トロイオンスあたり2,048.45ドルの年初来高値から足元の1,800ドル台前半まで大幅に調整してきた。その主な要因と考えられるのは米長期金利の急上昇だ(図表1参照)。 米10年国債利回りは、4月13日の3.4%から10月6日には4.8%へと、わずか半年で1.4%も上昇(価格は下落)した。このように金利が上昇すると、利息を生まない金の相対的な魅力は低下するととらえられ、それが金価格の主な下落要因になったと考えられる。この米長期金利の急上昇を招いた要因は、想定を上回る堅調な米景気見通しだ(ただし、10月7日のハマスによるイスラエル侵攻により米長期金利は急低下、金価格も上昇した)。 米景気見通しを振り返ってみると、4月13日時点での23年4-6月期実質GDP成長率のエコノミスト予想(ブルームバーグ集計)は0.2%だった(図表2参照)。ところが、10月
人口減少、高齢化が急速に進むなか、日本の社会保障制度には持続可能性に疑問符が付きつつある。国立社会保障・人口問題研究所が発表した2021年度の社会保障費用統計によれば、給付費の総額は前年度比4.9%増の138兆7,433億円になった。新型コロナにより医療費が大きく拡大、全体を押し上げたことが高い伸びの背景だ。もっとも、今後、高齢化が一段と進めば、給付総額の拡大は続くだろう。一方、財源に関しては、現役世代の減少により、保険料収入は逓減傾向が避けられそうにない。そうしたなか、現在の給付水準を維持するためには、保険料率の引き上げか、公的負担の増加が求められるが、いずれも簡単ではないと見られる。国民皆保険・皆年金を実現した日本の社会保障制度は、戦後の早い段階で設計された。前提は人口が伸びる社会である。しかしながら、1990年代に入って、経済成長率と社会保障給付の伸びには大きなギャップが生じた。社会
原油価格がジリ高歩調をたどっている。直接的な要因は、主要産油国であるサウジアラビアがロシアと共に供給量を調整していることだ。供給国側に市場をコントロールする主導権が移行したのは、多くの国・地域がカーボンニュートラルを目指すなかで、化石燃料は長期的に需要の先細りが予想され、新規の資源開発が滞りつつあることだろう。また、2010年代に急速に生産が拡大した米国のシェールオイルは、バイデン政権の環境政策に加え、有望な鉱床の開発が既に峠を越えたと見られ、大幅な増産は期待できなくなった。一方、化石燃料需要は直ぐには減らないため、石油は売り手市場になっている。2024年11月の大統領選挙で再選を目指すジョー・バイデン大統領にとり、エネルギー価格の抑制によるインフレ圧力の緩和は必須の課題であり、サウジアラビアとロシアの連携は頭の痛い問題だろう。また、日本経済にとっても、原油のジリ高が続けば、物価上昇圧力が
ニュージーランド(NZ)準備銀行(中央銀行)は2023年8月16日に開催した金融政策決定会合(会合)で、市場予想通り、政策金利(OCR)を5.50%に据え置きました(図表1参照)。NZ準備銀行は声明文で、現行水準の政策金利は引き締め水準にあることを指摘するとともに、予見可能な限りはOCRを引き締め水準に据え置く必要があると指摘しています。 また、NZ準備銀行は同日に発表した金融政策報告で、景気を熱しも冷やしもしない政策金利水準とされる長期的な名目OCR中立金利(自然利子率)を2.0%から2.25%に引き上げることを明らかにしました。
インドの家計における金融資産は拡大傾向を続けていますが、その多くを占めているのは銀行預金です。また、住宅ローンや自動車ローンなどの個人向けの融資についても年々増加していますが、その普及率は、諸外国に比べると依然として低い状況です。インドの銀行にとって、個人向け融資をはじめとしたリテール事業は、開拓余地が大きく、今後もさらなる成長機会となることが期待されます。
ただし、それが金融政策へのダメージになるとは考え難い。日銀が保有する長期国債は償却減価方式で評価され、原則として満期まで保有されるため、市場金利の変動により一時的に評価損が膨らんでも、日銀のキャッシュフローに影響を及ぼすことはないからだ。従って、国債の評価損に関し市場が神経質になる必要はないだろう。 もっとも、イールドカーブ・コントロール(YCC)は、中央銀行にとり極めてリスクの高い政策と考えられる。理由は、出口戦略へ移行するのが非常に難しいことだ。 第1の問題は、出口戦略として10年国債の目標利回りを引き上げた場合、国債の大量売りを誘発しかねないことである。例えばターゲットを「0.5%±0.25%」とする場合、市場は次に「1%±0.25%」になることを織り込むのではないか。価格下落リスクに晒される既発債の保有者は、日銀が0.75%のラインで連続指値オペをしている間に、保有する長期国債の売
急速に進んだ円安が取り敢えず一服したとは言え、日銀による金融政策の持続可能性に関して、市場内には疑念の声が強いようだ。アベノミクスの象徴的役割を果たしてきた黒田東彦総裁が2023年4月に交代した場合、新執行部の下で出口戦略が実施されるとの観測は少なくない。ただし、2016年9月の政策決定会合で導入された長短金利操作付き量的質的緩和(YCC‐QQE)により、10年国債の価格は割高な水準に据え置かれている。利回りの目標が現行のゼロ%から引き上げられた場合、日本国債に強い売り圧力が圧し掛かる可能性は否定できない。新たな目標を維持するため、日銀が国債の購入を拡大すれば、意図せざる量的緩和が円安、インフレの背景となるのではないか。また、国債発行時における表面利率の大幅な引き上げを迫られるため、財政への負荷も極めて大きいものとなるだろう。次期総裁の下でも、出口戦略への移行は容易ではないと予想される。米
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