M山K三郎が赤子時代の怪人アスタカについて語ること(二) しかしながら、生まれながらの構造主義者である怪人アスタカであっても、やはり赤子は赤子である。赤子は親の手によって育てられ、そして親は泣き叫ぶことでしか要求を伝えられないこの珍妙な生物を保護しなくてはいけない。いかに可愛い赤子であっても、そこには大いなる苦労が発生することだろう。このような営みは、地球上のあまねく動物において共通して見られることである。人によっては我が子可愛さのあまり、育児に伴う様々な苦労も喜びへと転じるそうであるが、果たして怪人アスタカはどうだっただろうか。彼もまた人並みに両親の手を煩わせ、困らせることもあったという。 赤子時代の怪人アスタカが特にその両親を困らせたのは、彼が母乳を一切飲もうとしなかったことであった。母、明日原早智子は当時、四五歳。周囲からは「あの歳で子どもを生むなどとは、ずいぶん思い切ったものだ」と