バンド練習を終えてスタジオから外に出るとムッとしたビル風が私を包んだ。夕立と日暮れを経ても外はまだ湿気が残っていて、汗をかいてもいいのか体が迷うような…夏の悪あがきとしか言いようのない夜だった。湿気と機材の重さに少々うんざりしながらメンバーの車に乗り込む。遠くで花火の音がするけど肝心の花火は見えない。なんとなくおいてけぼりになった気持ちになりながら花火を探すでもなく、窓の外を眺める。 見えないものに目を奪われて 足元からつまづいた手探りで掴んだのは 誰の手だったの 車内では今日の練習を録音した曲が流れてる。私のコーラスひどいなあ…。先に降りるメンバーの家の前に着き、私の歌は一番で止まった。その時。 「スイマセン、酔っ払っちゃって歩けないんで駅まで送ってもらえませんか?」「は!?」目の前にいるのはどう見ても未成年の背伸びとしか思えない安っぽい派手な服を着た女の子だった。戸惑う私達。しかし彼女