J. P. ホーガンというSF作家の「断絶への航海」というSFがあり、その中にポール・レチェットという人物が登場するのですが、この人物の登場シーンがちょっとカッコいいので、少し長いのですが引用してみます。 ポール・レチェット議員は、旅の終わりの数年間にそこで議論されたほとんどの議案に対して穏健一途の評価を得てきた人物であった。 科学者ではないが人類の歴史にこれまでずっとつきまとってきた諸問題を解消しうる唯一の方法として科学の進歩を強く唱導する彼は、自分の職業の範囲内でも、伝統がつくりあげた慣習などよりもはるかに大きな可能性を持つことが証明されたと思われる科学的方法の有効性を、固く信奉していた。 彼は、常に用語を明確に定義し、事実を客観的に貯蓄し、その意味内容を公正に評価し、そしてその評価を明確に検証するように努めている。 かくて当然ながら彼は、あらゆる陳情者にある程度までは同意し、あらゆる