連載目次 素直なベンダーはイラッとさせる 私はIT関連の仕事に約30年間従事し、前半3分の2をベンダーサイドで、残りの3分の1をユーザーサイドで働いてきた。ユーザーサイドに来て初めて分かったのは、ユーザーは素直なベンダーに対するイラ立ちを感じている、ということだ。 ユーザーは、自分たちが無理な要求をした場合にプロの目線でよく吟味し、拒絶したり代替案を提案したりすることや、プロジェクト管理の面や開発環境の準備、受け入れテストの際にも、ユーザーが間違っていたら異議を唱え、ときには言い争いをしながらもプロジェクトを成功に導く姿勢という付加価値をベンダーに求めている。 しかし、顧客であるユーザーのワガママや無理な要求を何でも受け入れることこそが顧客満足度を上げ、次の受注につながると考えるベンダーが多い。ウチの取柄は、お客さまのワガママに融通の利くこと――このような弁を私は何度も聞いてきた。 しかし