中国経済は、過去10年にわたり、10%前後の高度成長をつづけ、世界における存在感を強めている。これは、第2次大戦後、戦災の廃墟から出発した日本経済が、20年近くにわたる高度成長を実現し、世界第2位の地位に占めるに至ったプロセスを連想させる。 時代は異なるが、両国の高度成長期を比較すると、極めて興味深い問題が浮かび上って来る。中国は、かつての日本のように、20年にわたる高度成長が可能であろうか。 貧富の差の拡大が最大のリスク(中国) 私は、中国にとって最大のチャレンジは、如何にして同国の社会的リスクを顕在化させないで経済成長がつづけられるかということではないかと思う。 社会的リスクの最大のものは、言うまでもなく、貧富の差の拡大である。沿岸工業地帯と内陸農村部の1人当り所得の格差は、今や、6対1になっているといわれる。沿岸工業地帯においても、正規労働者と非合法出稼ぎ労働者の賃金には大きな格差が