1970年に中学生になった堀井憲一郎さんが映画を素材に「1970年代の若者と空気」を浮かび上がらせる集中連載(全3回)の最終回! 不思議な「おとなこども」気分 1970年代に自由こそ素晴らしいと信じていた若者の多くは生き延び、老人になっていった。 そのころだって、漠然とそういう未来を予想していなかったわけではない。 すでに大きな「大人の社会」があり、年を取り若者でなくなると、その社会に溶け込んでしまうのだろうとおもっていたはずだ。やがてほかの大人と区別できなくなってしまうのか、なんだか残念だなあ、とおもっていた。 その思念が強すぎたのだろう。 うまく綯交(ないま)ぜにならなかった。 若者であることを強く主張していた世代は、つまり自由を強く求めていた若者たちは、どうやらうまく年を取れなかったように見える。 なんだか不思議な「おとなこども」ができてしまった。しかたがなかったのだとはおもうが、い