今回は、現在公開中のイギリス・イタリア合作映画「おみおくりの作法」に描かれたイギリス料理を紹介する。 「イギリス料理はまずい」は本当か? 前々回「千年の一滴 だし しょうゆ」の文中で和食が2013年にユネスコの無形文化遺産に登録されたことに触れたが、これはフランスの美食術、地中海料理(イタリア、ギリシャ、スペイン、モロッコ)、メキシコの伝統料理、トルコのケシケキ(粥)に次ぐ食文化としては5つ目の登録となる。フランス料理やイタリア料理に対する評価は日本でも高く納得がいく。ところが、同じヨーロッパの大国であるイギリス料理の評判は芳しくなく、「イギリス料理はまずい」というイメージが定着してしまっているのは気になるところである。 そこで今回ご紹介するイギリス・イタリア合作映画「おみおくりの作法」を通して、そのことについて考えてみたい。 毎日が魚の缶詰 食パンに魚の缶詰、リンゴ、紅茶というメニューが