『ホモ・デウス』はSFに似ている 歴史学者、ユヴァル・ノア・ハラリの世界的ベストセラー『ホモ・デウス』を読んで、不思議な既視感に襲われた。似たような内容を、SF小説で何度も読んできたような気がするのだ。しかし、「荒唐無稽」なフィクションであるSFと違い、本書は歴史学者の書いた人文書であるということになっている。この類似点と違いはどういうことなのか、眩暈のような感覚に襲われたのだ。 人類のこれまでの歴史の進歩と、現在の科学や価値観を根拠にし、近い未来にはどのようなことが起こるのかを語ったのが本書である。 そこで語られている内容を紹介すると、人類は「死」を克服し「不死」に至る、科学技術によって自身の心身を改造して「超人」に至る、意志や意識に価値の重きを置く「人間至上主義」の時代が終わりビッグデータを基にしたAIによる判断により高きを置く「データ至上主義」の時代になる、人類がエリート層とそうでな
<体罰の悪影響は科学的にも証明され、既に54カ国で家庭での体罰が違法とされている。6月19日、しつけとしての体罰を親に禁じる改正法を成立させた日本が、体罰の悪影響を直視すべきこれだけの理由> 科学的な議論の蓄積に対し、政治が無視を決め込むことはしばしばある。例えば、体罰の悪影響が科学的に証明されているにもかかわらず、政治的な対応がなされてこなかったこともその一つだ。 2019年初頭から、千葉県野田市での少女虐待死事件などを受けようやく国会で「体罰禁止法」を作成しようという動きが活発化した。今年5月には、児童虐待防止法に体罰禁止が明記された。 そして6月19日、しつけとしての体罰を親に禁じる改正児童虐待対策関連法が参院本会議で可決、成立。一部を除いて2020年4月1日に施行されることになった。民法が規定する親の子どもに対する「懲戒権」のあり方についても、改正法施行後2年をめどに検討するとした
なぜ科学は「精神主義」につながったのか ――池澤夏樹さんの新著『科学する心』は、大学で物理学科に籍を置いたことがあり、これまでも、自らの作品に科学的題材を織り込んできた池澤さんが、文学的な眼差しを保ちながら、科学について論じるエッセイ集です。 扱う話題は、身の回りの生き物から、人工知能や生物学の最新の知識まで多岐に渡り、科学の知識の有無にかかわらず楽しく読み通せます。まず、「科学する心」という矛盾するタイトルに目がひかれますね。 作家として、本のタイトルは目立つようにしないといけないと考えるものです。そこで片仮名にしたり、長くしてみたりするんだけど、「科学といえば昔いやにモダンな言い方があったな」と思い出したんです。 実は「科学する心」とは、1940年代に作られた言葉なんです。提唱した橋田邦彦は生理学者である一方で、仏典や江戸時代の陽明学者・中江藤樹にも詳しいという変わった人物。ある意味で
千葉県・幕張メッセで毎年開催される「日本地球惑星科学連合大会」は、国内外の地球科学者が勢揃いする一大イベントである。2019年5月26〜30日に行われた今年の大会は、参加者数8390名に及んだ。その大会で、私はコンビーナ(会議を企画・運営する人)としてパブリックセッション「ブラタモリの探究」(本記事ではブラタモリセッションと呼ぶ)を開催した。 研究者たちにもファンが多い 私たちが『ブラタモリ』(NHK)を取り上げた理由はいくつかある。まず、地球科学の裾野を広げたいという使命感だ。大会の初日はパブリックデーとされ、学会の非会員も参加可能なパブリックセッションを開催できる。地球科学に関心を持っていただく人たちを増やすには絶好の機会なのだ。 あわせて、地球科学のすべての分野の研究者が集まる場で、私たちの専門知を一般の方々に解説する方法論を議論したいことも理由のひとつだった。『ブラタモリ』は、その
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く