先週6月12日に大和総研から「『国債買入減額+利上げ』だけで長期金利は2%超えか」とダオするリポートが明らかにされています。まず、大和総研のサイトからサマリーを3点引用すると以下の通りです。 サマリー 本稿では、国債買入額の減額ペースに関してシナリオ(月額5兆円、同4兆円、同3兆円)ごとに長期金利への上昇圧力を試算した。 いずれのシナリオにおいても、当面の間は、国債買入額の減額が長期金利に与える影響は限定的と見込まれる。だが、国債買入縮小による長期金利への上昇圧力は時間とともに強まっていくことには注意が必要だ。最終的な日本銀行の保有国債割合を10~30%と仮定すると、「国債買入縮小要因」と「短期金利引き上げ要因」だけで、長期金利は最終的には2%台半ばから3%程度まで押し上げられる可能性がある。 リスクシナリオとしては、財政リスクプレミアムの拡大が挙げられる。この抑制には、財政に対する信認を
今週の読書感想文は以下の通りです。 まず、村田治『大学教育の経済分析』(日本評論社)は、人的資本理論とシグナリング理論などにより大学教育に関する経済分析を試みています。高野剛『就職困難者の就労支援と在宅就業』(大阪市立大学出版会)は、障害者やひとり親などの就職困難者の在宅就業に関して支援団体や就労者個人に対してとてもていねいな聞き取り調査を行っています。コロナのパンデミックで在宅ワークが普及する前の貴重な研究成果です。背筋『近畿地方のある場所について』(角川書店)は近畿地方のダム近くの山などを舞台とするホラー小説です。飯田泰之『財政・金融政策の転換点』(中公新書)は、統合政府における需要主導型の経済政策に関して、極めて斬新な政策論を展開しています。橘木俊詔『資本主義の宿命』(講談社現代新書)は、市場に基礎を置く資本主義では必ずしも十分に解決されない貧困や格差・不平等の問題の歴史的、あるいは
本日、日銀から11月の企業物価 (PPI) が公表されています。PPIのヘッドラインとなる国内物価は前年同月比で+0.3%上昇したものの、上昇率は11か月連続で鈍化しています。したがって、「マイナス圏が目前」という報道もあります。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。 11月の企業物価0.3%上昇 2カ月連続1%割れ 日銀が12日発表した11月の企業物価指数(速報値、2020年平均=100)は119.5と、前年同月比で0.3%上昇した。10月(0.9%)から0.6ポイント低下し、2カ月連続で上昇率が1%割れとなった。電力料金が下落し、企業の価格転嫁の動きも鈍りつつある。伸び率は11カ月連続で縮小し、マイナス圏が目前に迫る。 企業物価指数は企業間で取引するモノの価格動向を示す。サービス価格の動向を示す企業向けサービス価格指数とともに消費者物価指数
私はネットのSNSで動画を見ただけでライブでは見ていませんが、本日のNHKで放送された「日曜討論」で自民党の世耕氏が、アベノミクスは失敗ではない、なぜなら、選挙で信任を得ているから、と発言したそうです。左派リベラルの見方では、これは明らかなパワークラシーであり、相変わらず、アベノミクスはほぼほぼ全否定されています。大丈夫ですかね? 私自身は、我が同僚の松尾教授が数年前に出版した『この経済政策が民主主義を救う』で展開されたように、アベノミクスのような経済政策こそ左派リベラルが採用すべき経済政策に近いと考えています。その意味で、金融政策の「正常化」と称して、日銀に現在の異次元緩和の修正を迫るのは、ヤメておいた方がいいと考えています。もちろん、他方で、支持率や政権維持が政策が正しい証であるなら、ロシアのプーチン政権をどう考えるのかが問題です。 ですから、「選挙に勝ったからどうこう」というのは別に
一昨日8月2日、エコノミスト誌のGraphic Detailのコーナーに、People in the West are least worried about hurtful speech と題するグラフが掲載されています。 まず、エコノミスト誌のサイトから引用すると、上の通りです。有害スピーチ hurtful speech、とは、我が国でいえば「ヘイト・スピーチ」ということになるのかもしれませんが、エコノミスト誌では、一般に左派は有害な言論に対して非寛容的であり、公共の場での容認できない有害な発言を規定する法令の必要性を感じているのに対して、右派はこういった規制が行き過ぎると言論の自由がリスクにさらされる可能性を危惧する傾向がある、と指摘しています。 その上で、英国のキングスカレッジ・ロンドンの世論調査員であるモリ氏が行った最近の調査、2020年12月から2021年1月にかけて28か国の
本日、内閣府から7月の消費者態度指数も公表されています。2人以上世帯の季節調整済みの系列で見て、7月はまたまた▲0.9ポイント低下して37.8となり、何と、10か月連続で前月を下回りました。まず、日経新聞のサイトから関連する記事を引用すると以下の通りです。 7月の消費者心理、14年の増税時並み水準に悪化 内閣府が31日発表した7月の消費動向調査によると、消費者心理を示す消費者態度指数(2人以上の世帯、季節調整済み)は前月より0.9ポイント低下して37.8となった。前月を下回るのは10カ月連続。2014年4月以来5年3カ月ぶりの低水準だった。10月の消費税率引き上げを前に、消費者の間で暮らし向き悪化への警戒感が強まっているようだ。 指数を構成する4指標は「暮らし向き」「収入の増え方」「雇用環境」「耐久消費財の買い時判断」で、7月は全てが前月より低下した。内閣府は「月々の給料や年金が大きく増え
経済産業研究所から、先月7月に雇用調整助成金が企業業績に及ぼす中長期的な影響を計測したディスカッションペーパーが明らかにされています。参照文献として示せば以下の通りです。なお、タイトルにある "Short-Time Compensation" とは、本文では STC と省略されていますが、「雇用調整助成金」のことです。 Kato, Takao and Naomi Kodama (2019) "The Consequences of Short-Time Compensation: Evidence from Japan," RIETI Discussion Paper Series 19-E-056, July 2019 私自身は、その昔、いわゆる生産要素、労働や資本を生産性低い分野から高い企業・産業に移動させることにより、我が国全体の生産性が向上する、という意味で、極めて右派的な経済学を
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